科学的根拠のある子育て・育児

乳児が下痢をしたときに、ミルクや母乳はやめて、経口補水液にすべきか?[イスラエル編]

  •  下痢の時、食事やミルクはどうしたらよいですか?

は、小児か外来でよくある質問です。基本的には、急性胃腸炎による下痢であれば、食事やミルクの再開は、特別に延期しなくてもよいと考えられています。その根拠を、本日はご紹介させていただこうと思います。

ポイント

  •  乳児を対象とした研究
  •  胃腸炎の下痢のとき、ミルクや母乳の再開タイミングを検討
  •  飲める状況なら、特別に遅らせる必要はなさそう
マミー
マミー
下痢のとき、食事やミルクはどうしたらいいですか?

Dr.KID
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過去の論文を見てみましょう。

小児の下痢のときに

  •  ミルクを薄めてください
  •  腸をやすめてくださ

といった指示もあるようです。ですが、これらの指示はほとんどが科学的根拠がありません。

飲食可能である状況なら、食事や飲み物に特別な変更は必要ないと考えています。

 研究の概要

今回は、イスラエルで行われたランダム化比較試験(RCT)をご紹介します。

 対象患者

今回のRCTは90人を対象に行われました。対象となったのは、

  •  1〜12ヶ月
  •  下痢  < 4日
  •  下痢の回数 >  4/日
  •  軽度の脱水

のある乳児が対象です。

治療

治療は、経口補水液による経口補水療法を行ったのちに、ランダムに

  •  6時間以内に母乳 and/or 人工乳を再開
  •  24時間以降に母乳 and/or 人工乳を再開

で行い、下痢の期間を比較しています。

研究結果

結果は以下の通りでした:

再開 早期 遅い
N 37 26
期間, 時間
(SD)
88.8
(45.6)
86.4
(57.8)

脱水が軽度で、飲める状況であれば、ミルクや母乳の再開を遅らせる必要はなさそうですね。

 感想と考察

今回の研究結果では、乳児が対象ですが、胃腸炎による下痢のときに、特別、ミルクや母乳の再開を遅らせる必要はなさそうです。

時に、「ミルクを薄めてください」といった指示をしている医師もいるようですが、過去のデータをみるかぎり、あまりメリットはなく、むしろ下痢によって低下した体重の回復が遅れるという報告もあります。

Dr.KID
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下痢の時、ミルクや母乳を急にやめる必要はなさそうですね。

まとめ

今回は、乳児を対象に行われたRCTで、下痢のときに母乳や人工乳を遅らせるべきか、検討しています。

乳児が飲める状況であれば、母乳や人工乳を中断する必要はなさそうですし、遅らせたからといって下痢の期間が短くなるわけではなさそうです。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。