賢明な医療の選択

感染症や腫瘍の検査の前に周期性発熱症候群の遺伝子検査を行わない[Choosing wisely]

今回は、小児の周期性発熱症候群の遺伝子検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の周期性発熱症候群の遺伝子検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の周期性発熱症候群の遺伝子検査
  •  感染症や悪性腫瘍の可能性を除外する前に、遺伝子検査を行わない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

感染症や腫瘍の検査の前に周期性発熱症候群の遺伝子検査を行わない[Choosing wisely]

Do not send periodic fever syndrome genetic panels prior to infectious and oncologic work up or in a patient without clear evidence of recurrent fever.

Fever is a common complaint in the pediatric age group with infectious etiology as the most common followed by malignancy. Thorough history and physical exam in addition to diligent documentation of fever and accompanying symptoms can often help define underlying etiology, minimizing as well as targeting additional work-up. Of note, most children with a periodic fever syndrome do not have a genetic mutation, and the most common periodic fever syndrome – PFAPA (periodic fever, adenitis, pharyngitis, aphthous ulcer) – is not associated with a monogenic mutation.

明らかな再発性発熱の証拠がない患者において、感染症や腫瘍の検査の前に周期性発熱症候群の遺伝子検査を行わない。

発熱は、小児の年齢層では一般的な症状であり、感染症が最も多く、次いで悪性腫瘍が多く見られます。

徹底した病歴聴取と身体検査に加えて、発熱とそれに伴う症状をきちんと記録することで、根本的な病因を明らかにすることができ、追加検査を最小限に抑えることができます。

また、最も一般的な周期性発熱症候群であるPFAPA(periodic fever, adenitis, pharyngitis, aphthous ulcer)は、単発性の突然変異とは無縁です。

考察と感想

小児の周期性発熱症候群の遺伝子検査に関してでした。

発熱の原因は、疫学的に最も多いのが感染症で、再発性の場合は悪性腫瘍などの可能性があげられます。最も可能性の高いものから順に除外していき、その後に周期性発熱症候群などの可能性を考慮するというのは、その通りと思います。

参考文献も読んでみようと思います:

Antoon J, Peritz D, Parsons M, Skinner A, Lohr J. Etiology and resource use of fever of unknown origin in hospitalized children. Hosp Pediatr. 2018;8(3):135-140.

Antoon J, Potisek N, Lohr J. Pediatric fever of unknown origin. Pediatr Rev. 2015;36(9):380-390.

Chusid M. Fever of unknown origin in childhood. Pediatr Clin North Am. 2017;64(1):205-230.

Gattorno M, Sormani M, D’Osualdo A, et al. A diagnostic score for molecular analysis of hereditary autoinflammatory syndromes with periodic fever in children. Arthritis Rheum. 2008;58(6):1823-1832.

Tchernitchko D, Moutereau S, Legendre M, et al. Mefv analysis is of particularly weak diagnostic value for recurrent fevers in western European Caucasian patients. Arthritis Rheum. 2005;52(11):3603-3605

まとめ

今回は、小児の周期性発熱症候群の遺伝子検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/12/21 03:10:47時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/21 02:10:51時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。