- 便秘ならば食生活を改善しましょう
- 野菜をしっかり摂取すると、便秘は改善します
などといった指導もあるようです。一方で、この指導には本当に科学的な根拠はあるのでしょうか?
今回は、グルコマンナンが慢性便秘症の改善に有効性を示した小児の研究をご紹介しようと思います。
- 食物繊維の一種であるグルコマンナンが便秘症に有効か検討した研究
- 便性は改善し、排便回数が増えた
- 消化管の便の通過時間には影響しなかった
J Pediatr 2000;136:41-5
グルコマンナンはこんにゃくなどに含まれますが、小さなお子さんへのこんにゃくは窒息の危険性があるので避けてください。
食物繊維を摂取すると小児の便秘は改善するのか?
研究の背景/目的
不十分な食物繊維摂取は,慢性便秘の原因として広く受け入れられている説明であり、特に食事摂取が困難な重度の脳の障害をもつ小児において認められる。
本研究の目的は,これらの小児における慢性便秘の治療として可溶性繊維であるグルコマンナンの有効性を評価することであった
研究の方法
重度の脳損傷および慢性便秘のある小児20人を対象に,グルコマンナン(10例)またはプラセボ(10例)による12週間の二重盲検ランダム化比較試験を行った。
治療期間の前後に,全小児において排便習慣,総および区域消化管通過時間,および肛門・直腸の運動性を評価した。
研究の結果
グルコマンナンは排便回数を増加させたが,プラセボの効果はなかった。
緩下剤または坐剤の使用はグルコマンナンにより減少したが,プラセボによる影響はなかった。
便の硬さの臨床スコアはグルコマンナンにより改善され,週あたりの痛みを伴う排便のエピソードは減少した。一方で、プラセボによる減少は計測されなかった。
グルコマンナンもプラセボも合計および区域別の便の通過時間に測定可能な効果を示さなかった。
結論
脳に障害された子供では,グルコマンナンは排便頻度を改善するが,結腸運動には影響しない。
考察と感想
実際のデータを見てみると、12週間の時点で排便回数は1週間あたりで2回ほど増えていました。また、便の性状や痛みのスコアの改善も見て取れました。
一方で、腹部膨満や消化管の通過時間にはあまり影響しなかったようですね。
まとめ
今回は、グルコマンナンの使用が、脳に重度の障害のある小児の便秘の改善に有効か検討したランダム化比較試験でした。
グルコマンナンを使用すると、便の性状が改善し、排便回数が増える傾向にあったようです。
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