今回は、鼻毛(vibrissae)が鼻腔閉塞に与える影響について検証した研究になります。
とてもユニークな研究でしたので、ご紹介します。
- 鼻毛(vibrissae)が鼻腔閉塞に与える影響について検証した研究
- 鼻毛をカットすると、主観的および客観的な鼻の閉塞感の評価において改善
- 特に鼻毛の密度が高い患者において、この傾向が強かった
2015年にアメリカから発表されたようです。
鼻腔閉塞の主観的および客観的指標に対して鼻毛は影響するか?[アメリカ編]
研究の背景/目的
鼻づまりや鼻閉は、広く普及している問題であり、広範に研究されている。
しかし、鼻毛(vibrissae)が鼻腔閉塞に与える影響について述べた研究は発表されていない。
鼻毛が鼻閉の主観的・客観的測定に与える影響を評価することを目的として、本研究が行われた。
研究の方法
この前向き研究では、鼻の症状のない30名の健常な男性を対象に、ベースラインの鼻毛密度を評価し、局所的な充血除去剤を投与した。
その後、被験者はライノメトリーを受ける前に、Nasal Obstruction Symptom Evaluation instrumentの4つの質問を用いて、主観的に鼻呼吸を評価するよう求められた。
その後、鼻毛を切除し、被験者は主観的評価と客観的評価を繰り返した。
症状スコア、鼻腔通気量、抵抗値などの介入前後の結果を、統計解析を用いて比較した。
研究の結果
被験者の鼻腔特異的症状のスコアおよび鼻腔の客観的測定値には、統計的に有意な改善が認められた。
ベースライン時に鼻毛が中程度または多いと評価された患者は、少ないと評価された患者に比べて、主観的および客観的な閉塞評価において改善する可能性が高いことが指摘された。
結論
これら30名の被験者において、主観的および客観的な鼻の閉塞感の評価において、特に鼻毛の密度が高い患者において、統計的に有意な改善が見られた。
これらの知見は、一部の鼻閉患者において、鼻毛の密度を減少させることの潜在的な有益性についてのさらなる研究を支持するものである。
考察と感想
面白い着眼点の研究と思いました。鼻毛をカットすると、鼻の通気がよくなるという内容で、言われてみれば当たり前かもしれませんが、こうして論文化されると面白いですね。
とはいえ、この研究は前後比較研究であり、因果の検証は不十分かもしれないです。
鼻毛の密度の評価は、
- 「少ない」:鼻孔に毛がほとんど見られず、毛の長さが非常に短く、鼻腔がはっきりと見える状態
- 「多い」:毛が多く、毛の長さが長く、鼻腔がはっきりと見えない状態
- 「中程度」:この間にある状態
と定義したようです。
また、鼻の症状の4つの指標とは、以下のものだったようです:
問題なし | 軽度 | 中等度 | やや悪い | 非常に悪い | |
鼻汁 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
鼻閉 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
鼻呼吸 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
労作時の鼻呼吸 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
それぞれの指標が「問題なし」となる割合は、鼻毛カットの前後で以下のように変化したようです:
- 鼻汁:63%→80%
- 鼻閉:83%→93%
- 鼻呼吸:80%→97%
- 労作時の鼻呼吸:90%→97%
健常者が対象なので、もともとのベースラインも高いですね。
まとめ
鼻毛が鼻腔閉塞に与える影響について検証した研究になります。
鼻毛をカットすると、主観的および客観的な鼻の閉塞感の評価において改善が認められました。また、特に鼻毛の密度が高い患者において、この傾向が強かったようです。
鼻毛については、こちらのnoteでも詳しく書いています↓↓
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