科学的根拠のある子育て・育児

手洗いや消毒された水道水の提供が、小児の胃腸炎を減らすか?[パキスタン編]

今回の研究は、パキスタンで行われ、手洗いや消毒された水道水の提供が、家庭での胃腸炎や感冒の感染率を低下するか検討しています。

先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。

ポイント

  •  クラスターRCTで手洗いや消毒した水道水の提供の感染予防効果を検証
  •  小児の下痢の発生率が低下した
  •  複数の介入を組み合わせても、介入効果は大きくならない
マミー
マミー
手洗いはどのくらい意味ありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

  手洗いの指導や、石鹸やハンドソープを提供すると、乳幼児の下痢の発症率は低下すると報告した研究は多数あります。

 研究の概要

目的

下痢を減少させるため、消毒剤の使用による水処理の有効性と、石鹸を用いた手洗いを促進する利点を評価

方法

この研究は、下痢が子どもの死因の第1位となっているパキスタンのカラチで行われた

介入はランダムに47地区に割り付けられ、以下の通りでした:

地区
漂白剤 石鹸 水処理
10 あり    
9   あり  
9     あり
10 あり あり あり
9 なし なし なし

現地の研究者は、下痢のデータを収集するため、2003年の4月から12月にかけて少なくとも週に一度は家庭を訪問した。

結果

コントロール地域の参加者では、およそ5.2%の割合で下痢がみられた。

コントロールと比較して、介入地域の参加者は下痢の発症率が低かった:

  • 漂白剤のある地域:55%(95% CI 17%、80%)低い
  • 石鹸のある地域;51%(95% CI 12%、76%)低い
  • 消毒剤のある地域;64%(95% CI 29%、90%)低い
  • 消毒剤と石鹸のある地域;55%(95% CI 18%、80%)低かった。

結論

地域への介入と無償で物品を供給することで、下痢を減少させることに成功した。

手洗い促進と水処理を組み合わせた効果はなく、いずれかで50〜60%の発生率低下が見込まれる

感想と考察

様々な介入が試みられた、包括的な研究でしたね。

色々と介入を組み合わせると効果が増しそうなイメージですが、実際にはあまり付加的な効果がなかったですね。

Dr.KID
Dr.KID
意外な結果でした。

まとめ

パキスタンにおいて、水道水の消毒、手洗いなどを評価した研究でした。

手洗いを推進すると、下痢の発症率が50%ほど低下するようです。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
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