今回の研究は、バングラディッシュで行われ、手洗い・排泄物の処理が、家庭での胃腸炎の感染率を低下するか検討しています。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- バングラディッシュで行われたクラスターRCT
- 手洗いや排泄物の清潔指導が胃腸炎の発症予防する効果を検証
- 胃腸炎の発生率が25%ほど低下した
手洗いの指導や、石鹸やハンドソープを提供すると、乳幼児の下痢の発症率は低下すると報告した研究は多数あります。
研究の概要
背景
バングラデシュのダッカにおいて、小児下痢症に高い割合で関連することが経験的に示されている水・衛生習慣を改善するために、教育的介入が計画された。
この習慣とは、
- 食物を用意する前の手洗いの欠如
- 子どもたちの家族敷地内の野外排便
- ごみや糞便の適切な処理に対する不注意
- 幼児が廃棄物を口に入れる機会、
である。
方法
クラスターランダム化比較試験が行われた。
それぞれ38家族からなる51のコミュニティを、介入を受ける群(n=25)と受けない群(n=26)に無作為に割り付けた。
介入は教育的なもので、
- 手洗いを実施するタイミングと方法
- 排泄場所と排泄物の処理方法
に関したものでした。
結果
介入後の六か月間で、六歳以下の子供の下痢の発症率(100人週当たり)は、介入地域で4.3,対照地域で5.8であった(26%の予防効果)。
食事を準備する前の手洗い習慣は改善したが、排便および廃棄物処理習慣の改善は認められなかった。
結論
これらのデータは、水・衛生改善の実践のための教育的介入が、開発途上国の子どもの下痢に有益な効果をもたらす可能性を示唆している。
特に、介入がシンプルにデザインされており、経験的に小児の下痢の発生率の低下に関連している自然な生理的行動を促す場合には、改善が見込まれる可能性が高い。
感想と考察
シンプルなメッセージと、現地の人への説明・実演が下痢の発症率を低下させたようです。
リソースのない途上国ですので、その現地の方々の生活にあったスタイルで、少し工夫することで感染症の発症率が低下したのは大きいですね。特に途上国の小児は、胃腸炎で亡くなる例もあるため、感染しないに越したことはありません。
まとめ
今回の研究は、バングラディッシュで行われたクラスターランダム化比較試験でした。
手洗い講習と排泄物の扱いの教育が、こどもの胃腸炎感染症のリスクが減らせることが示唆されました。
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