科学的根拠のある子育て・育児

マスクやガウンは、SARSへの感染予防となるか?[香港編]

感染予防として、手洗い・マスクはよく言われますが、どのくらいのエビデンスがあるのでしょうか。

今回は、マスクの予防効果が気になったため、過去の研究を調べてみました。

香港のとある病院で行われた研究のようです。

SARSの感染者を診療した医療従事者を中心に行われています。

ポイント

  • 香港の病院で行われた、SARSへの感染の予防因子を検討した小規模な研究

  • 対象は医療従事者

  • マスク、グローブ、ガウンといった一般的な方法は、予防効果を示唆する結果

マミー
マミー
マスクって感染症予防になりますか?

Dr.KID
Dr.KID
色々と報告はあるようです。過去の文献をみてみましょう。

参考文献

Effectiveness of precautions against droplets and contact in prevention of nosocomial transmission of severe acute respiratory syndrome (SARS). Lancet 2003; 361: 1519–20

  2003年のSARS流行時の研究です。

 研究の概要

SARSに感染した or しなかった医療従事者で、ケースコントロール研究が行われています。

結果

 

Case

Ctrl

OR

N

13

241

 

マスク

2

169

0.08
(0.01, 0.37)

グローブ

4

117

0.47
(0.10, 1.75)

ガウン

0

83

0
(0, 0.48)

手洗い

10

227

0.47
(0.10, 1.75)

 

粗解析の結果のみですが、マスク、グローブ、ガウン、手洗いなどは、いずれもSARSに対する感染予防の効果がありそうです。

感想と考察

病院での設定になってしまいますが、SARSにおいて、一般的な感染予防はどれも有効です。病院で診察するとしたら、これらの予防は非常に重要です。

一方で、これらの結果は、病院での設定であることは留意が必要ですね。

あとは、予防具をつけていたかは、後から聞くことになるので、思い出しバイアスなども混入する可能性があるでしょう。

Dr.KID
Dr.KID
病院で、医療従事者に対して行われた研究ですよ。

まとめ

香港の病院で行われた、SARSへの感染の予防因子を検討した小規模な研究です。

マスク、グローブ、ガウンといった一般的な方法は、予防効果を示唆する結果がでています。

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/21 02:10:51時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。