今回は、小児の高血圧の精査に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:小児の高血圧の精査に関して
- 血圧測定を繰り返す前に高血圧の精査を開始しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
無症状の小児患者に対して、血圧測定を繰り返す前に高血圧の精査を開始しない[Choosing wisely]
Do not initiate an outpatient hypertension (HTN) work-up in asymptomatic pediatric patients prior to repeating the blood pressure measurement.
Blood pressures in children need to be taken in accordance with standard methodology prior to the diagnosis of HTN in order to decrease the number of false positive readings that are often seen in pediatric patients. Methodology should include assessment of blood pressure in the upper extremity, by manual auscultation, with an appropriate-sized cuff.
NHLBI and AAP guidelines recommend repeating blood pressures (BP) x 3 at the same visit and at 2 additional visits to document persistent BP elevation prior to initiating a work up for pediatric hypertension (HTN) due to the possibility of falsely elevated BP readings in children as the prevalence of elevated blood pressures decreases significantly on repeated measures.
血圧測定を繰り返す前に、無症状の小児患者に対して外来での高血圧(HTN)検査を開始しない。
小児の高血圧に関して、偽陽性が多く見られることが分かっています。
この偽陽性を減少させるために、高血圧の診断に先立ち、標準的な方法で小児の血圧を測定する必要がある。
その方法としては、適切なサイズのカフを用いて、手動での聴診により上肢の血圧を評価することが必要です。
NHLBIとAAPのガイドラインでは、小児高血圧(HTN)の検査を開始する前に、同じ診察日とさらに2回の診察日に血圧(BP)を3回繰り返し、持続的な血圧上昇を記録することを推奨しています。
これは、小児の血圧上昇の有病率は繰り返し測定することで大幅に減少するため、誤って血圧が上昇する可能性があるためです。
考察と感想
小児の高血圧に関してでした。適切なカフで、複数回測定するというのは、高血圧の診療では基本ではないでしょうか。
参考文献も読んでみようと思います:
Sun J, Steffen LM, Ma C, Liang Y, Xi B. Hypertens Res. 2017 Jan 12. doi: 10.1038/hr.2016.179.
NHLBI guidelines 2012 https://www.nhlbi.nih.gov/files/docs/peds_guidelines_sum.pdf
The fourth report on the diagnosis, evaluation, and treatment of high blood pressure in children and adolescents, National High Blood Pressure Education Program Working Group on High Blood Pressure in Children and Adolescents. Pediatrics 14, 555-576, 2004. http://pediatrics.aappublications.org/content/114/Supplement_2/555.full.pdf+html
まとめ
今回は、小児の高血圧の診断と検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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