ITP(免疫性血小板減少症)による出血の重症度の評価をどのように行うべきか、過去にも議論があったようです。
前回は、WHOやBolton-MaggsとMoonの指標を解説してきました。
今回は、ITP Bleeging Scaleを中心に考察をしていこうと思います。
のちに妥当性の評価もされているようです。
- ITP Bleeding Scaleの出血グレードに関して解説
- 妥当性の評価も行われているよう
ITP Bleeding Scale
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
IBLS grade
IBLSという出血の重症度評価もあるようです。IBLSは、ITP Bleeding Scaleの略語のようです:
BS | 説明 | |
皮膚 | 0 | なし |
1 | 1〜5個のあざ 点状出血が散在 |
|
2 | > 5個のあざで> 2cm大 身体中に点状出血 |
|
口腔 | 0 | なし |
1 | 1つの血液水疱 5つ以上の点状出血 歯肉出血 (簡単に洗い流せる) |
|
2 | 複数の血液水疱 歯肉出血 |
|
鼻出血 | 0 | なし |
1 | 鼻をかんだ時に鼻出血 鼻出血 < 5分/回 |
|
2 | 鼻出血 > 5分/回 | |
消化管 出血 |
0 | なし |
1 | 潜血 | |
2 | 肉眼的血尿 | |
尿 | 0 | なし |
1 | 顕微鏡的血尿 | |
2 | 肉眼的血尿 | |
婦人科 | 0 | なし |
1 | 月経時以外の点状出血 | |
2 | 月経時以外の出血 月経過多 |
|
肺 | 0 | なし |
1 | N/A | |
2 | あり | |
頭蓋内 出血 |
0 | なし |
1 | N/A | |
2 | あり | |
結膜下 出血 |
0 | なし |
1 | あり | |
2 | N/A |
皮膚と口腔の初見は、診察時+病歴で2回とる必要があるようです。このため、9 + 2 = 11個のスコアが生じます。
考察と感想
WHOやBolton-Maggsらの指標はやや曖昧という印象でした。
特にWHOのものは「輸血が必要か否か」を指標にしていたり、そもそもITP用に作られたわけではないので、使用しづらいのは当然かもしれません。
今回のものは、あざの大きさや数なども考慮されており、より実用的になった印象です。
まとめ
今回は主にITPの出血スケール(IBLS)について解説しました。
WHOの出血の重症度分類より、ITPの背景では適している印象です。
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