新型コロナウイルスのワクチンが筋肉注射ということもあって、痛みを気にされている方もいるようですが、実際のところはどうでしょうか。
今回は、新型コロナではないですが、Hibワクチンの接種で筋注と皮下注を比較した研究があったので、ご紹介しようと思います。
- カナダの小児のHibワクチンの接種時に研究
- 皮下注射と筋肉注射で痛みを比較
- 啼泣する小児は、筋肉注射の方がやや多かったよう
Leung AK, Chiu AS, Siu TO. Subcutaneous versus intramuscular administration of Haemophilus influenzae type b vaccine. J R Soc Health. 1989 Apr;109(2)
1989年に公表されたようです。
小児の予防接種は筋注と皮下注どちらが痛い?[カナダ編]
研究の背景/目的
小児の予防接種において、皮下注射と筋肉注射で痛みの程度に違いがあるかを検証するために本研究が行われた。
研究の方法
15ヶ月から5歳までの498名の小児を対象に、0.5mlのHaemophilus influenzae b型ワクチン(Hib)を接種した。
小児は皮下(S.C.)または筋肉内(I.M.)のいずれかの方法でワクチンを接種した
皮下(S.C.)群では200名(81.1%)、筋肉内(I.M.)群では198名(79.5%)が接種後48~72時間後に再診し、副作用の有無を記録した。
残りは電話で連絡を取った。
研究の結果
性別と年齢を一致させた後、各群194組(男性103組、女性91組)ペアがあり、ペア間の平均年齢差は0.4ヵ月であった。
ペア比較の結果,筋肉内投与では接種時の疼痛(泣き声)は,筋肉内投与の方が頻度が高かった(p < 0.01).
注射部位の圧痛はI.M.群で4例に発現したが、S.C.群では1例も発現しなかった(p=0.06)。
その他の副作用の発現は両群間で有意差はなかった。
結論
本研究の結果から、Hibワクチン投与には皮下注射が選択される方法であることが示唆された。
考察と感想
ワクチン接種時の啼泣のみ、皮下注射の方がやや少なかったという結果だったようですね。
それ以外のアウトカム、例えば、発熱や不機嫌、局所の腫れなどは、ほとんど一緒だったようです。
まとめ
この研究では、カナダの小児において、Hibワクチンで皮下注射と筋肉注射のどちらが痛みが少ないかを比較しています。
皮下注射の方が啼泣する割合はやや少なかったようですが、それ以外のアウトカムはほぼ同じだったようです。
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