今回は、侵襲性細菌感染症における抗菌薬の使用と細菌検査に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:侵襲性細菌感染症における抗菌薬の使用と細菌検査
- 予防に広域抗菌薬を使用したり、予防を継続しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
侵襲性細菌感染症が疑われる患者に対して、血液や尿などの適切な培養を行われずに、経験的に抗生物質投与を開始しない[Choosing wisely]
Don’t initiate empiric antibiotic therapy in the patient with suspected invasive bacterial infection without first confirming that blood, urine or other appropriate cultures have been obtained, excluding exceptional cases.
For suspected invasive bacterial infections, diagnostic testing should include blood cultures and appropriate culture of specimens from the suspected infected site. Not all specimens may be obtained prior to antibiotics but optimally a blood culture can be obtained at the time of intravenous access. In cases where antibiotics are started due to clinical instability, or when there is a requirement for coordination for surgically accessed cultures, cultures should still be obtained at that time. In certain cases, PCR testing may be helpful to guide therapy (eg, CSF, synovial fluid, pleural fluid). Diagnostic testing should be considered for suspected systemic viral infection that may mimic bacterial sepsis, and may allow more timely initiation of antiviral therapy and discontinuation of antibiotics if bacterial infection is excluded. In neonates where bacterial or viral sepsis cannot be differentiated based on the clinical presentation, and both antibiotics and antivirals are initiated, blood cultures should be prioritized and cultures from additional sites (eg, CSF) and PCR testing (eg, HSV) should be obtained as soon as is clinically feasible.
侵襲性細菌感染症が疑われる患者に対しては、例外的な場合を除いて、まず血液や尿などの適切な培養が行われていることを確認せずに、経験的な抗生物質投与を開始してはならない。
侵襲性細菌感染症が疑われる場合、診断検査には血液培養と感染が疑われる部位からの適切な検体の培養が必要である。すべての検体が抗生物質の投与前に得られるとは限らないが、最適には静脈内投与時に血液培養を行うことができる。
臨床的に不安定な状態で抗生物質の投与を開始した場合や、外科的に採取した培養物を調整する必要がある場合にも、その時点で培養物を採取するべきである。特定のケースでは、PCR検査が治療の指針として役立つことがある(例:CSF、滑液、胸水)。
細菌性敗血症に似た全身性のウイルス感染が疑われる場合には、診断検査を検討すべきであり、細菌感染が除外された場合には、よりタイムリーに抗ウイルス療法を開始し、抗生物質を中止することができる。
臨床症状から細菌性敗血症とウイルス性敗血症の区別がつかず、抗生物質と抗ウイルス剤の両方を開始した新生児では、血液培養を優先し、臨床的に可能な限り早急に他の部位(例:CSF)の培養とPCR検査(例:HSV)を行うべきである。
考察と感想
侵襲性細菌感染症における抗菌薬の使用と細菌検査に関してでした。大まかな内容は完全に同意です。
「例外的な場合」というのが何を指すのか、あとは施設によっては行える検査、できない検査というのもあるので(さらに日米でのリソースの差も)、その辺りは加味する必要があると思いました。
参考文献も読んでみようと思います:
Wong D, Wong T, Romney M, and Leung V. Comparison of outcomes in patients with methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA) bacteremia who are treated with β-lactam vs vancomycin empiric therapy: a retrospective cohort study. BMC Infect Dis. 2016 May 23;16:224. doi: 10.1186/s12879-016-1564-5.
Urinary Tract Infection: Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of the Initial UTI in Febrile Infants and Children 2 to 24 Months. SUBCOMMITTEE ON URINARY TRACT INFECTION, STEERING COMMITTEE ON QUALITY IMPROVEMENT AND MANAGEMENT. Pediatrics. Aug 2011, peds.2011-1330; DOI: 10.1542/peds.2011-1330.
Shah SS, Aronson PL, Mohamad Z, Lorch SA. Delayed acyclovir therapy and death among neonates with herpes simplex virus infection. Pediatrics 2011; 128:1153.
Dellinger RP, Levy MM, Rhodes A, et al. Surviving Sepsis Campaign: International guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2012. Critical Care Medicine. 2013 Feb;41(2):580-637.
まとめ
今回は、侵襲性細菌感染症における抗菌薬の使用と細菌検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
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小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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