小児科

小児の急性ITPにおいて、IVIGと抗D免疫グロブリンは、どちらがよい?[韓国編]

今回は、韓国で行われたIVIG,と抗D免疫グロブリンの有効性を比較した研究を紹介しました。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

この研究は、韓国の小児の急性ITPにおいて、免疫グロブリン (IVIG) と抗D免疫グロブリン (抗D) 50μg/kgでのの単回投与の効果を比較した。

方法

著者らは、急性ITPの初期診断時に、小児に

  • IVIG 1.0 g/kg/dの連続2回投与
  • 抗D免疫グロブリン 50μg/kgの単回投与

を前向きに行って、血小板数およびヘモグロビン濃度を含む有害事象を連続的に評価し、反応を比較した。

結果

IVIGおよび抗D群における治療3日後の血小板数が20×10/mmを超える可能性は、それぞれ93%および92%であった。

加えて、抗D免疫グリブリン群のヘモグロビン濃度は、治療3日後にIVIG群のそれより低下した(1.49 g/dL vs 0.80 g/dL)。

発熱、悪寒、および頭痛はIVIG群よりも抗D群で頻度が低かったが、統計的に有意ではなかった(25% vs.45%)。

結論

50μg/kgの抗Dの単回投与は、IVIGと同程度効率的に血小板数を増加した。

50μg/kgの抗DはIVIGよりもヘモグロビン濃度に大きな影響を及ぼしたが、副作用は許容可能であり、重篤なイベントは観察されなかった。

考察と感想

抗D免疫グロブリンは2000年代中盤から、RCTが盛んにされてますね。

副作用は発熱、悪寒、頭痛などみていますが、結構多いですね。

Dr.KID
Dr.KID
12時間くらいで落としているようですね。投与速度と関連はありますかねえ。

 

まとめ

今回は、小児のITPにおいて、IVIG、Anti-Dを比較したRCTでした。

両者の血小板増加作用はほぼ同じでしたが、IVIGのほうが副作用はやや多い一方で、Anti-Dのほうがヘモグロビンの低下が大きかったです。

 

 

created by Rinker
¥4,950
(2024/12/21 20:19:35時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/21 02:10:51時点 Amazon調べ-詳細)

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。