小児科

川崎病と免疫グロブリン大量療法の有効性の検証 [アメリカ編]

  •  川崎病にIVIGをアスピリン

すでに医学生でも知っているようなことですが、この根拠がどこから来たのか知っている方、エビデンスの詳細を知っている方は意外と少ないのかもしれません。

今回の研究は、この方針に科学的な根拠となる論文の1つで、アメリカから報告されたものです。

ポイント

  •  1986年に報告されたアメリカからのRCT
  •  IVIG + アスピリン vs. アスピリン単独を比較
  •  14日以内の冠動脈病変は、リスク比にして1/3に
マミー
マミー
川崎病の治療ってなにがありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

 アメリカから報告された、超有名な論文です。

 研究の概要

目的

多施設合同ランダム化試験において、急性期の川崎病における冠動脈病変のリスクを減少させるため、静脈内ガンマグロブリン+アスピリンの有効性をアスピリン単独の有効性を比較した。

方法

本研究は、年齢・性別・施設毎に分けて行われたblocked RCTである。

ガンマグロブリン群にランダムに割り付けられた小児には、400 mg/kg/日のガンマグロブリンを4日間連続で静脈内投与した(*注意:現在の標準治療とは投与の仕方が異なります)。

両治療群とも発症14日目までアスピリン100 mg/kg/日を投与し、その後3~5 mg/kg/日を投与した。

心エコー検査は、 2人以上の読影者により盲目かつ独立して実施された。

結果

登録2週間後、冠動脈病変(CAL)のリスクは以下の通りであった:

  IVIG + ASA ASA
CAL 8%
(6/75)
23%
(18/78)

Mantel-Haenzelの重み付けをして、年齢・性別などを考慮した上で、リスク比は0.36 [95%CI, 0.16〜0.79]であった。

7週間後のCALのリスクは以下の通りであった:

  IVIG + ASA ASA
CAL 4%
(3/79)
18%
(14/79)

Mantel-Haenzelの重み付けをして、年齢・性別などを考慮した上で、リスク比は0.22 [95%CI, 0.07〜0.64]であった。

ガンマグロブリン投与による重篤な副作用はなかった。

結論

高用量静脈内ガンマグロブリンは、川崎病の初期に投与した場合、冠状動脈異常の有病率を低下させるのに安全で効果的であると結論した。

まとめ

川崎病に免疫グロブリン大量投与が有効であることが示唆されたアメリカからのランダム化比較試験でした。

IVIGを使用すると4週間後に冠動脈のリスクが18%から4%まで低下しています。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。