小児科

川崎病の標準治療にステロイドパルス療法を併用するのは有用?

  •  川崎病にステロイドはNG

とまで言われていた時代がありました。

詳細は省略しますが、1980年代に行われた観察研究や症例集積などで、ステロイドを使用した場合の冠動脈病変が多かったのが影響しているようです。

2010年前後にいくつか研究が行われて、このトレンドは大きく変わりました。今回は、その1つの研究をご紹介しようと思います。

Lancetに掲載されたRAISE studyが有名すぎるため、私は発表されてしばらく気づかなかったのですが、同じような時期に出版されていたようです。

ポイント

  •  2011年日本からの報告
  •  重症型の川崎病に対し、ステロイドパルス併用療法の有効性を検証
  •  解熱する傾向で、冠動脈瘤のリスクが減少した
マミー
マミー
川崎病の治療ってなにがありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

参考文献

Corticosteroid Pulse Combination Therapy for Refractory Kawasaki Disease: A Randomized Trial. Pediatrics. 2011.e17-23

 日本から報告されたRCTですね

 研究の概要

背景:

本研究は、難治性(重症型)川崎病が予測される患者において、

  • メチルプレドニソロンパルス(IVMP)+免疫グロブリン静注(IVIG)
  • IVIG

のいずれかを投与し、臨床的有効性と安全性を検討した。

方法:

KD患者122例が対象となりました。

難治性(重症型)KDは、Egami scoreを用いて診断時に予測された(感度 78%, 特異度 76%):

  • 血小板数
  • CRP
  • ALT

該当する患者に対し、IVIG + IVMPまたはIVIG単独療法を施行した。

結果:

Egamiスコアに基づいて、48例 (39.3%) が治療抵抗性であると予測された。

治療の内訳は以下の通りです:

  • IVIG群(n=26)
  • IVMP+IVIG群(n=22)

IVMP+IVIG群では、86.4% (19/22)が速やかに解熱しましたが、IVIG群では23.1% (6/26)であった 。

治療後1か月の冠動脈のzスコアが2.5以上の患者は、IVMP + IVIG群より、IVIG単独群で高かった

考察と感想

従来の川崎病の初期治療に、ステロイドパルスを併用することの有用性をみていますね。

通常のステロイドでいくか、パルスで一度に解熱を図るかで、方針は異なるようですね。

Dr.KID
Dr.KID
2010年前後から、トレンドは大きくかわってきましたね。

まとめ

日本で行われたランダム化比較試験になります。

川崎病の重症例において、ステロイドパルス併用療法は、発熱期間を短くさせ、冠動脈アウトカムのリスクを減らすことが示唆されています。

 

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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。