- 川崎病にステロイドはNG
とまで言われていた時代がありました。
詳細は省略しますが、1980年代に行われた観察研究や症例集積などで、ステロイドを使用した場合の冠動脈病変が多かったのが影響しているようです。
1990-2000年代もいくつか研究が行われていますが、結果はどうでしょうか。
- 1999年の日本からの報告
- 川崎病に対して、異なる治療レジメンでの有効性を比較
- ステロイド使用は、発熱期間や冠動脈病変のリスク低下と関連するかも
日本から報告された観察研究ですね
研究の概要
目的:
川崎病の初期の研究において好ましくない結果が多く(1970-80年代前半)、これに基づいて、ステロイドは川崎病 (KD) の急性期には禁忌であると考えられていた。
しかし、著者らの病院では、ステロイドがKDのいくつかの症例で使用され、満足のいく結果が得られている。
そこで、KD患者において、コルチコステロイドの有無で治療したの転帰を分析した。
研究デザイン:
以下の4つの治療レジメンで治療した299人の川崎病症例のカルテを後向きにレビューした:
- アスピリン、ジピリダモール、プロプラノロール
- レジメン1+プレドニゾロン2 mg/kg/日を1週間投与し、その後2週間かけて漸減
- レジメン1+ガンマグロブリン静脈内投与 (IVGG) 、 200又は400 mg/kg/d, 5連続日であった
- レジメン1+プレドニゾロン+IVGG
であった。
結果:
2(ASA + PSL)と4(ASA + PSL + IVIG) で治療した患者は、それぞれ1(ASA)と3 (ASA + IVIG) で治療した患者より、来院時のデータが悪かった(発熱期間など)。
冠動脈瘤はレジメン4で(IVIG + ASA + PSL) 治療された患者で最も頻度が低くに、レジメン2(ASA + PSL) ではレジメン1 (ASA) よりも頻度が低かった。
重回帰分析を行ったところ、プレドニゾロンは、発熱期間と冠動脈瘤発生率の減少との関連性が示唆された。
結論:
著者らのデータは、 KDの急性期の治療におけるコルチコステロイドの可能性のある役割を示唆する
考察と感想
川崎病の急性期の治療の違いによる有効性の違いを検討しています。
後ろ向きのデータではありますが、ステロイドを使用した方が、発熱期間や冠動脈瘤のリスクが低下しているのがわかります。
粗解析でも、重回帰分析でも、結果は変わらなかったようですね。
まとめ
単施設の後ろ向き調査で、川崎病におけるステロイドの有効性を検討しています。
この結果によると、ステロイドは発熱期間の短縮、冠動脈瘤のリスクを低下と関連していたようです。
前向き研究を行うさきがけとなるデータのようですね。
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