科学的根拠のある子育て・育児

スカイプを介して2歳以上の幼児は学習することは可能?[アメリカ編]

スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。

一方で、2〜3歳以降は、コンテンツを選びながら、動画を見せることで、ひょっとしたら学習効果があるかもしれないと考えられています。代表例としては、セサミストリートはいくつかの研究が過去に行われていました。

近年、スカイプなどを介したライブチャットに学習効果があるか関心が高まっているようです。今回はその研究の1つを紹介します。

 

ポイント

  •  スカイプなど、ライブチャットの有効性をみたランダム化比較試験
  •  24〜30ヶ月の幼児が対象
  •  ライブチャットは、対面形式の教育と同等の効果あり
  •  ビデオを流すだけでは、ほとんど学習効果なし
マミー
マミー
スクリーンタイムってどうなのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。

 研究の概要

言語学習は社会的な相互作用の中で行われるが、社会的相互作用を言語学習に有用にするメカニズムは不明である。

本研究は、社会的随伴性 (social contingency) が単語学習をサポートするかどうかに焦点を当て行われた。

24~30か月齢の幼児(N=36)を、 ランダムに3つの異なる条件に割り当てた:

  • ライブインタラクショントレーニング
  • ビデオチャット(スカイプ)を介した社会的随伴性 (social contingency)のあるビデオトレーニング
  • 社会的随伴性 (social contingency)のないビデオトレーニング

のいずれかで新しい動詞に曝露した。

結果は、子供が社会的偶発性のある相互作用(ライブインタラクションとビデオチャット)においてのみ(つまり1) ライブ・インターアクションと2) ビデオチャットを介したトレーニング)、新しい動詞を学習した。

この研究は、言語学習に対する相互作用における社会的随伴性の重要性を強調し、ビデオチャット技術を介した単語学習を検討する最初の研究である。

結果

詳細な結果は以下の図の通りでした:

ビデオチャットや実際に目の前で教育者と相互作用があった状態の方が、新規の言葉に該当する行動を正しくみている時間が長かったようです。

感想と考察

2歳未満は基本的にスクリーンからの学習は困難な先行研究が多いです。

一方で、2歳を超えてくると、スクリーンからでも学習できる可能性はありそうです。ただし、社会的な随伴性のある相互作用が必要なようです。つまり、教育者と本人の間の双方向性が学習には欠かせないようですね。

Dr.KID
Dr.KID
2歳以降は、条件を整えれば、学習の助けにもなるかもしれませんね。

まとめ

今回の研究では、24〜30ヶ月の幼児において、Skypeなどライブチャットでの学習効果があるか検討しています。

Skypeなどのビデオチャットからは、実際に対面で教育したのと同じくらい、新しい言葉を学習することができたようです。

一方で、社会的な随伴性・相互作用のないビデオに関しては、学習効果はこれらより低かったようです。

 

乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓

スクリーンタイムのまとめnote

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。