ロイコトリエン拮抗薬はモンテルカスト(キプレス®︎やシングレア®︎)やプランルカスト(オノン®︎)がありますが、これらの薬が小児の風邪や急性気管支炎で有効か検討した研究は複数あります。
この薬の問題点として、医師によっては風邪や気管支炎でルーチンに近い状態で処方している方がいたり、保護者側も「咳止め」と勘違いしている点です。
基本的に気管支喘息であれば予防薬として使用されることは過去の研究結果で有効性が示されており、その有効性はしっかりとしています。しかし、小児の喘息以外での有効性の検討は不十分であり、有効でないか、有効性があっても非常にごくわずかな可能性もあります。
小児の急性細気管支炎の急性期に有効か?
小児は風邪をひいた際に急性細気管支炎を起こすことがありますが、これにロイコトリエン拮抗薬が有効かを検討した研究は複数あります。
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さらにこれらの研究を統合したメタ解析もあります。
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結果としては、メリットはほぼないか、あってもごく僅かという印象です。
細気管支炎後の喘鳴の再発予防に、中期的に有効か?
RSウイルス細気管支炎などに罹患したあとは、咳が長引いたり、喘鳴が再発しやすいことはよくあります。
この喘鳴の再発予防効果があるかを検討した研究もいくつかあります。ここでは3ヶ月ほど経過をみた研究を掲載します。
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相反する結果でして、トルコの研究では。ロイコトリエン拮抗薬を使用したグループの方が、β刺激薬の吸入回数を減らしたり、臨床上昇度スコアが軽快しています。
一方で、デンマークやベルギーの研究では有効性はほとんどなさそうです。
細気管支炎後の喘鳴に長期的に投与したら有効か?
RSウイルスなどによる細気管支炎の後に長期的にロイコトリエンを使用してメリットがあるかを研究した文献も複数あります。
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どちらも似たような傾向でして、アレルギー素因のありそうなお子さんには有効性を認めそうな印象でした。とはいえ、喘鳴の回数や受診数を僅かに減らす程度でして、臨床的に意義のあるものかは慎重に考える必要があると思います。
4週間以上の長引く咳に有効か?
小児は風邪や細気管支炎以外にも、マイコプラズマや百日咳に罹患した時に咳が長引くことがあります。この状態にロイコトリエン拮抗薬が有効かを検索したシステマティックレビューはあります。
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PubMedなどで網羅的に文献を検索していますが、残念ながらまともな研究はありませんでした。
エビデンスは不足しており、長引く咳にルーチンでロイコトリエン拮抗薬を処方すべきでないと著者らは述べています。
ロイコトリエン拮抗薬の副作用について
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ロイコトリエン拮抗薬の副作用についても評価されています。この薬を使用したからといって発熱のリスクは上昇しないようですが、下痢に関しては副作用の頻度が上昇する印象です。
まとめ
ロイコトリエン拮抗薬のエビデンスについて、簡単にまとめてみました。
詳しく知りたい方は、それぞれの記事を参照されてください。