- マクロライドは日本では非常によく処方されている
- 過剰処方は耐性化の懸念がある
- 実際、3日間の内服で口腔内の常在菌が耐性化した…
先日、こんなツイートを見かけました。
非常に興味深い文献です。
あとで読んでみようと思います。https://t.co/Ehfn03lnO8 https://t.co/k82bN4FGA9— Dr. KID (@Dr_KID_) November 6, 2019
アジスロマイシンを歯周病に使っても耐性菌は生じないと言っている歯科医がいるらしい。そんなわけない。3日飲んだら口腔内連鎖球菌は8割方マクロライド耐性となり、半年たってもプラセボより有意に耐性が多い。ソースは Lancet 369 (9560), 482-490, 2007.
日本ではマクロライドが多用されてきた黒歴史があり、耐性菌は非常に問題となっています。
今回の研究は、マクロライドを内服すると、その後に口腔内の常在菌がどれくらい耐性化するのかを検討しています。
研究の方法
今回の研究は、ランダム化比較試験でマクロライド(アジスロマイシンとクラリスロマイシン)内服後に、口腔内の常在菌がどのくらい耐性化するのかを検討しています。
対象となったのは、
- 2002-2003にベルギー在住
- 18歳以上
- 基礎疾患がない
- 3ヶ月ほど抗生剤を内服していない
などが該当しています 。
治療について
治療は、
- アジスロマイシンを3日
- クラリスロマイシンを7日
- プラセボ
のいずれかをランダムに投与しています。
アウトカムについて
アウトカムに関しては、
- Day 0
- Day 4-8
- Day 14
- Day 28
- Day 42
- Day 180
などを見ています。
研究結果と考察
結果はこちらの図に凝縮されています。
(論文のFigure 2より拝借)
マクロライド内服後1週間前後で、すでに耐性菌が検出される割合は80%ほどです。
その後も耐性菌の検出率は高く、半年後でも50%ほどで検出されています。
感想と考察
とてもシンプルな研究ですが、非常にインパクトがありますね。
「耐性化」は目に見えない形で起こっていますが、それを可視化したのがこの論文でしょう。
案外、簡単に耐性菌が出てきてしまうのがよくわかります。この論文からも、マクロライドを含め、抗生剤の安易な処方は避けたいところですね。
まとめ
今回の研究によると、マクロライドを内服して1週間後には8割以上で耐性化した口腔内の常在菌が検出されています。
安易な抗菌薬の処方は避けたいところですね。
マクロライドを内服すると…
- 口腔内の常在菌はあっという間に耐性化する…