この論文は、Modified Checklist for Autism in Toddlers (M-CHAT)とM-CHAT, Revised With Follow-up (M-CHAT-R/F)の感度と特異度に関連する要因を調査したシステマティックレビューとメタアナリシスの研究です。
Modified Checklist for Autism in Toddlers (M-CHAT)とM-CHAT, Revised With Follow-up (M-CHAT-R/F)の感度と特異度
研究の背景/目的
Modified Checklist for Autism in Toddlers(M-CHAT)とM-CHAT、Revised With Follow-up(M-CHAT-R/F)は、最も一般的に使用される自閉症スペクトラム障害(ASD)の幼児スクリーニングツールです。
しかし、これらのツールの使用方法は、元の検証研究と異なることが多く、感度と特異度の推定値に幅があります。また、M-CHAT(-R/F)の臨床的有用性に関する報告のばらつきがあるため、研究者や臨床家は自閉症スクリーニングプロトコルに関する指針を欠いています。
M-CHAT(-R/F)の感度と特異度の変動性を、見逃された症例の特定方法、確率レベル、スクリーニング年齢、単回と繰り返しのスクリーニングなどの複数の要因を含めて統合することを目的に研究が行われました。
研究の方法
PubMed、Web of Science、Scopusを使用して、2001年1月1日から2022年8月31日までに発表された研究を検索しました。
研究がM-CHAT(-R/F)(すなわち、オリジナルまたは改訂版)を使用して新たなASD症例を特定し、英語での査読付きジャーナルに掲載され、少なくとも10件のASD症例を含み、偽陰性症例の特定手順を報告し、48か月までの子どもをスクリーニングし、メタ分析を実施するために必要な情報を含んでいる(または著者が連絡を取った際に提供された)記事が対象となりました。
系統的レビューとメタ分析は、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses(PRISMA)報告ガイドラインに従って実施されました。
Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies-2ツールは、サンプル選択におけるバイアスを評価しました。データ抽出と品質評価は、2名の著者が独立して行いました。M-CHAT(-R/F)の全体的な診断精度は、階層的要約受信者操作特性(HSROC)モデルを用いて評価されました。
研究の結果
レビューには50件の研究と51のサンプルが含まれました。M-CHAT(-R/F)のプールされた感度は0.83(95% CI、0.77-0.88)、特異度は0.94(95% CI、0.89-0.97)でした。
異質性分析では、低リスク群と高リスク群、同時診断と前向き診断戦略、大規模サンプルと小規模サンプル、M-CHAT(-R/F)フォローアップの使用、英語以外と英語主体の比較で診断精度が高かったことが示されました。
結論
この研究の結果全体から、M-CHAT(-R/F)はASDのスクリーニングツールとしての有用性が示されました。M-CHAT(-R/F)の心理測定プロパティにおける幅広い変動は、研究と実践において考慮すべきスクリーニングツールの使用の違いを示しています。
考察と感想
この研究は、M-CHAT(-R/F)を使用した自閉症スペクトラム障害(ASD)のスクリーニングに関して、さまざまな要因による感度と特異度の変動を統合的に検討したものです
研究の結果は、M-CHAT(-R/F)がASDのスクリーニングツールとして全体的に有用であることを示していますが、感度と特異度に関する変動が複数の要因によって生じることに注意が必要です。
このような研究は、ASDのスクリーニング手法やプロトコルの改善に役立ち、研究者や臨床家が最適なスクリーニング方法を選択する助けとなるでしょう。
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