麻疹は高度に感染性のある病気であり、ワクチンの普及以前は多くの感染例と死亡例をもたらしていました。近年、ワクチン接種率の低下や接種を避ける動きが増加する中、再び麻疹のアウトブレイクが各地で報告されています。
特に、子供たちの中でのワクチン接種の有効性やそのタイミングは、公衆衛生の観点からの大きな関心事となっています。この背景のもと、Stephan Arenzらによる最近の研究は、バイエルン州コーブルクでの麻疹の流行中に、家庭内の接触後の麻疹ワクチンの効果に焦点を当てています。
この研究は、特定の年齢層の子供たちにおけるワクチンの効果性を詳細に評価し、ワクチン接種のタイミングやその効果についての新しい知見を提供しています。
Arenz S, Schmitt HJ, Tischer A, von Kries R. Effectiveness of measles vaccination after household exposure during a measles outbreak: a household contact study in Coburg, Bavaria. Pediatr Infect Dis J. 2005 Aug;24(8):697-9. doi: 10.1097/01.inf.0000172900.70430.c2. PMID: 16094223.
バイエルン州コーブルクでの麻疹のアウトブレイク時の家庭内曝露後のワクチンの効果
研究の背景/目的
最近、バイエルン州コーブルクで麻疹の流行が観察されました。アウトブレイクの前の年に5〜6歳の子供のワクチン接種率は76.5%でした。麻疹に対する2回のワクチン接種を受けた子供はわずかでした。家庭内接触研究とスクリーニング法によりワクチンの効果を評価しました。
研究の方法
家庭内接触研究は、少なくとも1例の麻疹がある家族で行われ、2次感染率を評価し、ワクチンの効果を推定するために標準化されたコンピュータ支援電話インタビューが行われました。ワクチンの効果は、コーブルクの麻疹の確認された症例の学校入学検査とアンケートの情報を使用して、Farringtonのスクリーニング方法でも推定されました。
研究の結果
38人の子供が一次感染者でした。その接触者のうち、20人の子供が2次感染症例として研究に含まれました(1人がワクチン接種)、23人の子供が麻疹を発症しなかった接触者でした(12人が1回、4人が2回ワクチン接種)。
これにより、1回のワクチン接種に対するワクチンの効果は90%(95%信頼区間、35-97%)となりました。
流行中にワクチン接種を受けた人口の割合は81.5%に達し、ワクチン接種を受けた症例の割合は10.9%であり、スクリーニング方法を使用したワクチンの効果は97.2%(95%信頼区間、95.7-98.3%)と推定されました。
結論
麻疹ワクチンの効果を評価する2つのアプローチを使用することで、西ヨーロッパの麻疹の流行中に90%以上の非常に高いワクチンの効果が示されました。
考察と感想
バイエルン州コーブルクでの麻疹のアウトブレイクを背景に、Stephan Arenzらによる研究は、家庭内接触後の麻疹ワクチンの効果を精査しています。研究の結果は、特にワクチン接種のタイミングとその効果に関して、いくつかの重要なポイントを浮き彫りにしています。
まず、一回のワクチン接種による効果は非常に高く、90%の効果が確認されました。このことから、ワクチンの正しいタイミングでの接種は、麻疹のリスクを大幅に低減することができると言えます。しかし、流行中にワクチン接種を受けた人口の割合と症例の割合を考慮した結果から、ワクチンの効果は97.2%とさらに高く推定されました。これは、ワクチン接種の重要性とその効果を強調するものです。
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