麻疹

ワクチン導入後のはしかの流行:都市部の流行時の疫学、臨床症状、合併症の評価

 

この研究では、ワクチン導入後の都市部におけるはしかの流行に焦点を当てています。目的は、大都市中心部の小児病院で見られた440件のはしかの症例を分析し、疫学的特徴、臨床的表現、合併症の発生、そしてこれらに伴う経済的影響を明らかにすることです。

参考文献

Mason WH, Ross LA, Lanson J, Wright HT Jr. Epidemic measles in the postvaccine era: evaluation of epidemiology, clinical presentation and complications during an urban outbreak. Pediatr Infect Dis J. 1993 Jan;12(1):42-8. PMID: 8417425.

ワクチン導入後のはしかの流行:都市部の流行時の疫学、臨床症状、合併症の評価[アメリカ編]

研究の背景/目的

ワクチン導入後のはしかの流行に関するこの研究では、大都市中心部の小児病院で440件のはしかの症例が見られました。

研究の方法

これらの症例は人口統計学的特徴、曝露歴、合併症のリスク要因と発生率、結果、財政的影響について後ろ向きに分析されました。

研究の結果

5歳未満の子供が90%以上、15か月未満が56%を占め、94%がヒスパニックまたはアフリカ系アメリカ人でした。

曝露歴が利用可能な115人の患者のうち、83人は医療施設訪問が唯一の感染源でした。

院内感染した患者の中には免疫不全を有する4人がおり、そのうち1人が肺合併症で死亡しました。

440人の患者のうち195人(44.3%)がはしかの合併症のために入院しました。入院患者の平均年齢は1.9 ± 2.4歳で、非入院患者(2.1 ± 2.5歳;P < 0.25)と差はありませんでした。

入院の主な理由は、161人に見られた呼吸器系合併症(肺炎および/またはクループ)と、25人の脱水でした。

14人が集中治療を必要とし、11人が挿管と機械的換気が必要でした。3人の子供が肺症状により死亡しました。これらの患者の治療にかかった総医療費は170万ドル以上でした。

結論

ワクチン導入後でも、はしかの流行は重篤な合併症を引き起こし、特に若年層の子供たちに影響を与えることが明らかになりました。この研究は、はしかの流行に対する迅速な対応と、適切な予防策の重要性を強調しています。

考察と感想

この研究は、ワクチン導入後の都市部でのはしかの流行を深く掘り下げ、その疫学的特徴と臨床的表現に関する重要な洞察を提供しています。
 
特に、若年層の子供たち、とりわけ5歳未満の子供たちが大部分を占めること、そして多くがヒスパニックまたはアフリカ系アメリカ人であることは、特定の民族集団や年齢層におけるはしかのリスクを示唆しています。
 
医療施設の訪問が主な感染源であることや、重篤な合併症が多く発生している点も特筆すべきで、これらの合併症により多くの子供たちが入院し、高額な医療費が発生していることが明らかになりました。

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。