麻疹

都市部の流行中におけるはしかの合併症としての喉頭気管支炎[アメリカ編]

 

この研究では、地域全体でのはしかの流行中に、はしかの合併症として喉頭気管支炎(LTB)がどの程度発生するか、またその人口統計学的および臨床的特徴について評価しました。

参考文献

Ross LA, Mason WH, Lanson J, Deakers TW, Newth CJ. Laryngotracheobronchitis as a complication of measles during an urban epidemic. J Pediatr. 1992 Oct;121(4):511-5. doi: 10.1016/s0022-3476(05)81136-9. PMID: 1403381.

都市部の流行中におけるはしかの合併症としての喉頭気管支炎[アメリカ編]

研究の背景/目的

この研究は、地域全体に広がるはしかの流行中に、はしかの合併症としての喉頭気管支炎(LTB)の発生に関連する人口統計学的および臨床的特徴を評価することを目的としています。

研究の方法

医療記録の後ろ向きレビューが行われました。研究の場となったのは、1990年1月から6月にかけてはしかの地域流行があった、ロサンゼルスの大規模な小児病院です。対象となったのは、当該病院ではしかと診断されたすべての患者です。

研究の結果

はしかの診断を受けた440人の患者のうち、82人(18.6%)がLTBを併発していました。

LTBが発症した患者は平均年齢が14.7ヶ月(±8.2ヶ月)と若く、全体の平均年齢24.8ヶ月(±30.1ヶ月)よりも有意に若かった(p<0.001)。

また、LTB患者の91.5%が入院を必要としましたが、これは全体の44.3%と比較して有意に高い割合でした(p<0.001)。

重篤な患者の中には、平均8.3日(±7.1日)の気管内挿管を必要とする13人(17.3%)がいました。

うち5人の患者に対して行われた肺機能テストは、臨床的に肺炎と診断されていない3人を含め、下気道疾患の併存を示していました。

結論

LTBははしかの頻繁でしばしば重篤な合併症であり、発症する可能性は年齢と反比例し、通常は入院治療を必要とし、重症患者には気管内挿管が必要でした。

考察と感想

この研究は、はしかの重篤な合併症である喉頭気管支炎(LTB)に関する重要な洞察を提供しています。
特に、LTBが発症した患者は、はしか患者全体と比較して有意に若い年齢層に集中していることが明らかにされました。これは、特定の年齢層がこの合併症に特に脆弱である可能性を示唆しています。
 
また、LTB患者の高い入院率と、重篤な症例における気管内挿管の必要性は、この合併症の管理における課題を浮き彫りにしています。
 
さらに、肺機能テストの結果からは、下気道疾患の併存も示唆され、LTBがはしかのより広範な影響を持つことを示しています。この研究は、はしかの合併症のリスク評価と予防策の重要性を強調しており、臨床医にとって重要な情報を提供しています。
 
 

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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。