- 下痢の時、ミルクや乳製品を避けてください
という指示もあるようです。
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、炭水化物やタンパク質、脂質の吸収が悪くなることが知られています。このため、ミルクや乳製品を避けた方がよいのではないか、と必要性を感じる保護者や医療者がいるようです。
今回は、この方針にメリットがどのくらいあるのかを触れた論文の解説をしようと思います。
先に結論とポイントから述べましょう。
- 小児の下痢の時、ミルクや乳製品を避ける必要があるか検討
- ミルクや乳製品を避けても、下痢の期間、アトピー性皮膚炎、IgEの上昇の頻度は変わらない
基本的に、胃腸炎のとき、わざわざミルクを薄めたり、経口補水液のみにしたりする必要はないと考えられています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、ミルクや乳製品をそのまま続けてよいか検討した研究になります。
1986年に報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院
- 生後6〜34ヶ月
の小児が対象です。
治療
治療は、点滴による脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- ミルクや乳製品を避ける
- 特に制限を設けない
のいずれかをランダムに割り当てています。
研究結果
最終的に65人が参加しています。
結果は以下の通りでした:
- ミルクや乳製品を避けても、下痢の期間は短くはならなかった
- 胃腸炎の時に、ミルクや乳製品を摂取しても、アトピー性皮膚炎の発症率は変わらない
- 総 IgEや乳へのIgE値の上昇する割合は変わらない
と分かりました。
つまり、胃腸炎の時に、ミルクや乳製品を継続しても、下痢の期間は長引かないし、アレルギー疾患のリスクが上昇するわけでもなさそうでした。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、わざわざミルクを中断したり、乳製品を避ける必要がなさそうなデータでした。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、ミルクや乳製品を避けるべきかを検討しています。
ミルクを避けたり、乳製品を避ける必要はなさそうです。下痢の期間は短縮せず、アレルギー疾患のリスクが上昇するわけではなさそうです。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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