賢明な医療の選択

疑わしい症状のない患者に対して、カビへの感受性検査をしない[Choosing wisely]

今回は、カビへの環境曝露とアレルギー検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
カビへの環境曝露とアレルギー検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:カビへの環境曝露とアレルギー検査
  •  ルーチンでアレルギー検査をしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

疑わしい症状のない患者に対して、カビへの感受性検査をしない[Choosing wisely]

Do not order mold sensitivity testing on patients without clear allergy or asthma symptoms (particularly those with chronic fatigue, arthralgia, cognitive impairments, and affective disorders). For those with allergy or asthma symptoms who have not responded to environmental interventions to reduce allergen exposures, mold sensitivity testing may be performed by an allergist or pulmonologist, but should not routinely be performed in the primary care setting.

Mold can cause sensitization and clinical disease. Skin prick and in vitro tests can effectively identify patients who are sensitized to molds, although this does not always translate to clinical disease. Results of these tests must be interpreted in the context of the patient’s clinical presentation.

Exposure to dampness and mold can increase the risk of developing asthma in children regardless of their atopic status and increased symptoms of asthma and rhinitis in individuals who already have these conditions. Interventional studies have found that a multifaceted series of interventions aimed at reducing indoor moisture, removing contaminated building materials, and reducing reservoirs (including carpeting and dust) can reduce exposure sufficiently to reduce symptoms in affected individuals. This implies a causal relationship between exposure to fungi and morbidity and provides a rationale for environmental interventions to reduce it.

明確なアレルギー症状や喘息症状のない患者(特に慢性疲労、関節痛、認知障害、感情障害のある患者)に対して、カビ感受性検査を指示しない。アレルギーや喘息の症状があり、アレルゲンへの曝露を減らすための環境的な介入に反応しなかった人に対しては、アレルギー専門医や呼吸器専門医がカビ感受性検査を実施することがありますが、プライマリーケアの現場では日常的に実施すべきではありません。

カビは感作および臨床疾患を引き起こす可能性があります。skin prick testや血液検査は、カビに感作された患者を効果的に特定することができますが、これが必ずしも臨床疾患に結びつくとは限りません。これらのテストの結果は、患者の臨床症状との関連で解釈する必要があります。

湿気やカビにさらされると、アトピー性疾患の有無にかかわらず、小児の喘息発症リスクが高まり、また、すでに喘息や鼻炎の症状がある人では、その症状が増強される可能性があります。

介入研究によると、室内の湿気を減らし、汚染された建材を除去し、貯留層(カーペットやほこりなど)を減らすことを目的とした多面的な一連の介入によって、罹患者の症状を軽減するのに十分な曝露量を減らせることがわかっている。このことは、真菌への曝露と罹患率との間に因果関係があることを示唆しており、真菌への曝露を低減するための環境的な介入の根拠となっている。

考察と感想

カビへの環境曝露とアレルギー検査に関してでした。

感作と臨床症状がリンクするとは必ずしも言えず、闇雲に検査をすべきではないというのは、その通りと思います。

参考文献も読んでみようと思います:

Portnoy JM, Jara D. Mold allergy revisited. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015;114(2):83-89

推奨の内容の割に、提示された文献数が少ないのは残念ですね。

まとめ

今回は、カビへの環境曝露とアレルギー検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。