モンテルカスト(キプレス®︎; シングレア®︎)は気管支喘息の長期間管理薬として科学的根拠のある薬です。
喘息というと、空気の通り道が細くなりゼーゼーしてしまうわけですが、乳幼児の急性細気管支炎でも似たような病態を示すことがあります。
このため、モンテルカストが小児の急性細気管支炎に有効かははっきりしておらず、今回の研究が行われたようです。
急性細気管支炎はRSウイルス感染などを契機に起こしてしまうことがあります。RSウイルスに関して詳しく知りたい方は、以下の記事をどうぞ。
研究の方法
今回はイスラエルの2施設で二重盲検ランダム化比較試験が行われました。対象となったのは、
- 生後4週〜2歳
- 急性細気管支炎の診断で入院治療が必要
- 基礎疾患なし
などの小児が対象となっています。
まず3ヶ月以内 vs.3ヶ月以上の2ブロックにわけて、それぞれでランダム化を行い、
- モンテルカスト
- プラセボ
のいずれかを投与しています。
アウトカムは、
- 入院期間
- 臨床スコア(CS, clinical score)
などを指標にしています。
結果と考察
最終的に53人の患者が解析対象となりました。患者背景は、
- 月齢 4ヶ月くらい
- やや男児が多い
- 受動喫煙は7%ほど
- RSウイルス陽性が8割弱
でした。
入院日数
入院日数を比較しています。
M | P | 差 | |
入院日数 | 4.65 (1.97) |
4.63 (1.88) |
0.02 |
(M, モンテルカスト; P, プラセボ)
入院日数はモンテルカストを使用しても短縮しなかったです。
臨床スコア
Wangらの提唱する臨床スコア(Am Rev Respir Dis. 1992;145:106–109)を使用し、継時的な変化を捉えています。
(黒 プラセボ;灰色 モンテルカスト)
プラセボとモンテルカストで臨床スコアに大きな差はありませんし、若干ですがプラセボのほうがスコアが低いようにもみえます。
考察と感想
イスラエルの2歳以下の小児の急性細気管支炎を対象に、モンテルカストの有効性が評価されています。
プラセボと比較して、モンテルカストを使用しても、入院日数はかわらず、臨床スコアは改善していない印象です。
小児科外来、特に喘息の管理でロイコトリエン拮抗薬の存在は大きいです。1日1回内服でよいのと、乳幼児は吸入がうまくできないこともあるからです。
とはいえ、喘息でない疾患、例えば小児の急性細気管支炎などでも多様されていることや、なかには咳止めかなにかと勘違いしているのでは?と思う頻度で処方されていることもあります。
今回の研究では、入院が必要な小児の急性細気管支炎で有効性は証明できませんでした。外来ではどうかとなります。正直、外来で類似の研究をして同じような結果がでるかはわかりませんが、入院患者で毎日スコアを確認しても改善していないのをみると、あまり期待できないかもと思ってしまいました。
まとめ
イスラエルの2歳以下の小児の急性細気管支炎を対象に、モンテルカストの有効性が評価されています。
プラセボと比較して、モンテルカストを使用しても、入院日数はかわらず、臨床スコアは改善していない印象です。
他の研究結果も探してみようと思います。