モンテルカストは気管支喘息の長期管理薬、つまり発作が再発しないようにコントロールするためによく使用されている薬です。
一方で、モンテルカストが小児の気管支喘息発作に有効であるかは議論がわかれるところで、有効性がありそうと報告した過去の研究もあります。
今回の研究は、中国において2〜5歳の小児の気管支喘息発作にモンテルカスト(キプレス®︎)の有効性があるかを検討しています。
研究の方法
今回の研究は、2011-15年に、中国の小児気管支喘息発作の患者で、
- 2〜5歳
- 入院が必要であった
- FEV1 < 70% or PEF < 300 L/min
- 他の慢性疾患がない
などを対象に二重盲検化ランダム化比較試験が行われました。
治療は、β刺激薬、ステロイドや酸素投与に加えて
- モンテルカスト
- プラセボ
のいずれかをランダムに割り当てています。
アウトカムは、
- PEF
- FEV1
- 入院日数
などを比較しています。
研究結果と考察
最終的に120人が解析対象となりました。モンテルカスト投与は60人、プラセボは60人です。患者の特徴としては、
- 年齢:3.5歳
- 男児:65〜70%
- 急性増悪の既往:50%弱
- 家族歴:50〜60%
でした。
PEFとFEV1について
モンテルカストとプラセボでPEF(L/min)とFEV1(L)を計測しています。
PEFについて
まずPEFについてですが、日別にみると以下の通りでした。
M | P | |
Day1 | 94.1 (34.1) |
94.3 (33.8) |
Day2 | 101.6 (37.6) |
100.9 (36.9) |
Day3 | 108.5 (39.1) |
109.7 (38.6) |
Day4 | 114.2 (40.9) |
115.9 (41.7) |
退院時 | 113.6 (41.4) |
115.1 (42.1) |
(M = モンテルカスト;P = プラセボ)
モンテルカストとプラセボでは、PEFの値はほぼ同じでした。
FEV1について
まずFEV1についてですが、日別にみると以下の通りでした。
M | P | |
入院時 | 0.89 (0.15) |
0.85 (0.18) |
退院時 | 1.04 (0.21) |
1.03 (0.22) |
(M = モンテルカスト;P = プラセボ)
モンテルカストとプラセボでは、FEV1の値もほぼ同じでした。
入院日数について
入院日数を比較すると以下の通りでした:
M | P | |
入院日数 | 4.13 (1.96) |
4.21 (2.03) |
(M = モンテルカスト;P = プラセボ)
入院日数はどちらも同じくらいですね。
考察と感想について
今回の研究では、2〜5歳の小児で入院が必要だった気管支喘息発作に対して、モンテルカストを使用するメリットがあるかを検討しています。
結果としては、PEFやFEV1といった呼吸機能は改善せず、入院日数の短縮効果もありませんでした。
この研究については二重盲検もされていますし、途中のドロップアウトもおらず、バイアスの入り込む余地は少なかったように思います。
ただ、1つの研究結果だけみて「効果がない」とは言い切れないため、他の研究結果も参照していこうと思います。
まとめ
中国において、2〜5歳の小児で入院が必要だった気管支喘息発作に対して、モンテルカストを使用するメリットがあるかを検討しています。
ステロイドやβ2刺激薬の吸入に加えて、モンテルカストを使用しても、PEFやFEV1といった呼吸機能は改善せず、入院日数の短縮効果もありませんでした。
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