おたふくかぜのポイント
おたふくかぜに関するまとめ:
- おたふくかぜはムンプスウイルスの感染で起こります
- 顎に痛みを伴う腫れがでます
- ワクチンで予防可能な感染症です
- 合併症は難聴、精巣炎や髄膜炎があります
おたふくかぜの原因と特徴
『おたふくかぜ』は、医学用語で『流行性耳下腺炎』といいます。
おたふくかぜは、ムンプスウイルスによる飛沫感染で発症します。
ちょっとマニアックな話ですが、ムンプスウイルスは 1本鎖RNAウイルスで主に6つの構造蛋白で構成されています。
おたふくかぜにかかりやすい年齢
おたふくかぜの原因であるムンプスウイルスに感染する年齢は4歳以下が多く、およそ50%は4歳以下です。
4歳 、5歳 、3歳の順に多く、3歳〜6歳で60%程度を占めます。
幼稚園・保育園で流行することもあります。
おたふくかぜの潜伏期間について
潜伏期間は、ムンプスウイルスに感染してから、おたふくかぜが発症するまでの期間をいいます。
おたふくかぜの潜伏期間ですが、およそ2〜3週間(平均18日)です。
増殖したウイルスは、この期間に全身に広がります。
おたふくかぜの症状について
おたふくかぜは、ワクチン接種をしていると基本的に軽症のことが多いですが、接種していないと合併症を起こすことがあります。
おたふくかぜは顎が腫れます
おたふくかぜの代表的な症状は、顎の腫れです。
具体的には、耳下腺、顎下腺あるいは舌下腺の腫脹です。
片側だけのこともありますし、両側とも腫れてしまうこともあります。
腫れている場所と、そうでない場所の境界は不鮮明で、強く押すと痛みが出ます。
一緒に発熱することもあります。
大体ですが、1週間〜2週間以内で軽快することが、ほとんどです。
おたふくかぜの合併症について
おたふくかぜに罹ると、合併症が起こりやすいです。
髄膜炎の頻度が多く、1%〜10%程度です。
髄膜炎以外にも、脳炎、膵炎、精巣炎、卵巣炎、難聴を起こすこともあります。
難聴は1,000人〜10,000人に1人の頻度です。
特にワクチン接種をしていない人、年長児や成人が合併症を起こしやすいといわれています。
不顕性感染について
ムンプスウイルスに感染しても症状がでないことが30%-35%程度であります。
このことを不顕性感染といいます。
おたふくかぜの診断について
おたふくかぜの診断方法は;
- 臨床診断
- 抗体価(IgM, IgG)
- 遺伝子増幅検査(PCR)
あたりを利用して行います。
基本は問診と身体診察で十分です
基本は、ワクチン歴・身体診察をして、おたふくかぜかどうか判断しています。
これで十分なことが、ほとんどです。
典型的でない場合や、診断に自信がない場合は、血液検査などをします。
おたふくかぜの治療
おたふくかぜに効く特効薬はないので、基本的に対症療法で経過をみます。
解熱薬や適切な水分摂取で様子をみます。
髄膜炎や膵炎など、重篤な合併症が起こった場合は、入院して経過をみます。
ムンプスワクチンでおたふくかぜの予防をしましょう
おたふくかぜは、ワクチン接種で予防可能です。
ワクチンの有効性は確立されており、2回接種すれば97%〜99%で予防可能といわれています。
ワクチン接種後に抗体が付く可能性は90%以上と非常に高いです。
ワクチンを接種したのに、おたふくにかかる人はいますが、ほとんどは重症化せず、軽症で済んでいます。
おたふくかぜワクチンの副反応が気になる人もいるでしょう。
耳下腺の軽度腫脹が1%程度でみられます。 無菌性髄膜炎の報告は2000人に1例くらい認めます。
ワクチンの接種時期について
予防接種の開始時期は、1歳以降であれば可能です。
髄膜炎、脳炎、難聴などの合併症がおたふくかぜにはあるため、早めに受けることをお勧めします。
遅くとも、3歳までには受けるようにしましょう。
ワクチン接種は2回行うことをお勧めしています。
小学校入学前に2回目を行うことが多いです。
おたふくかぜの出席停止について
元来は 耳下腺の腫脹がある間はウイルスの排泄が多いので、腫脹が消失するまで出席停止 とされていました。
しかし、2012年頃より『発症後5日以上経過して、全身状態がよければ登校・登園可』 となっています。