ITPの診断は基本は臨床診断ですが、抗血小板関連抗体の存在は、以前から言われています。
今回は、この検査が診断の一助になるか、感度・特異度の観点から見ています。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
血小板に対する自己抗体のアッセイを利用した診断の研究は広範に行われている。
しかし、このような検査方法を利用したITPの診断は、依然として臨床的な課題のままである。
これまでの文献データでは、血小板関連IgG (PAIgG) の測定は、特にフローサイトメトリーを用いた場合に感度が高いが、特異度は不十分であると示されている。
抗原を捕捉する技術を用いた特異的自己抗体の測定は特異度を高めるが、大部分の患者はこのような方法による自己抗体の検出から外れてしまう。
本研究の目的は、一次および二次免疫性血小板減少症患者と非免疫性血小板減少症患者において、 PAIgG値と修正抗原捕捉ELISA (MACE = Modified antigen capture ELISA) を比較することである。
方法
血小板数が100×10^9/L以下の患者104人を対象に検討した。
42人の患者は原発性の血小板減少 (P-ITP)、 23人の患者は他の免疫疾患による二次的な血小板減少 (S‐ITP) , 39人の患者は血小板産生低下による血小板減少症(NITP: 免疫学的機序を介さない)を示した。
PAIgGは免疫蛍光フローサイトメトリーで測定し、特異的血小板関連自己抗体(GP IIb/IIIa, Ib/IX, Ia/Iaに対する)は市販の抗原捕獲アッセイ(MACE、GTI、米国)で測定した。
結果
ITPに対するPAIgGとMACEの感度・特異度などは以下の通りであった:
PAIgG | MACE | |
感度 | 60% | 60% |
特異度 | 77% | 97% |
陽性的中率 | 81% | 97% |
陰性的中率 | 54% | 59% |
PAIgGとMACE分析の一致率は73%であった。
PAIgGとMACEはP‐ITPよりS‐ITPで高い感受性を示した。
結論
臨床的に免疫性血小板減少症と診断された患者の40%では、血小板自己抗体が検出されなかった。
これはおそらく、内因性の方法論的検出の問題、疾患の病期の違い、または真の免疫病因の欠如によると考えられる。
考察と感想
PAIgG | MACE | |
P-ITP | 50% | 48% |
S-ITP | 78% | 83% |
NITP | 23% | 3% |
それぞれの分類での陽性率を示した表は上の通りです。
まとめ
今回は、免疫性の血小板減少において、血小板関連抗体の感度・特異度を、異なるアッセイで見ています。
感度はPAIgGとMACEでは同じくらいでしたが、特異度は後者のほうがやや高かったようです。
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