今回の研究は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が、鼻腔・咽頭スワブ vs. 頰からのスワブで、ウイルスの検出率がどのくらい異なるかを検討した研究になります。
- 新型コロナウイルス以外のコロナウイルスが、異なる検体での検出率の違いを比較
- 頰から採取した場合のほうが、感度は下がりそう
新型コロナウイルスの検査は、鼻腔・咽頭から検体をとって、PCRで確認することが多いでしょう。
研究の概要
背景
シンガポールで行なわれた研究で、小児の頬粘膜スワブ検体が、鼻咽頭スワブ検体と比較して、どのくらい臨床的に有用かを検討した報告です(RT-PCRを使用)。
方法と結果
無症状または軽症の新型コロナウイルスの小児患者(3か月~12歳)11名が対象となりました。
上咽頭と頬粘膜から同時に検体採取してを用いて検討しました。
上咽頭からの検体で陽性であった11人のうち、頬粘膜も陽性であった小児は9人(81.8%:9/11)でした。
経時的な推移をみると、頬粘膜検体の方が、上咽頭検体よりも早く陰性化する傾向にありそうでした。
結論
頬粘膜から検体を採取することは上咽頭よりも安全性は高いですが、小児のスクリーニング検査としてはやや問題があると考えられました。
感想と考察
臨床的にいえば、頰粘膜や唾液からのPCRが精度が落ちないのなら、そうしたいと考える小児関係の医療者も多いのではないでしょうか。
小児から検体をとるのは一苦労です。インフルエンザなどの経験からいうと、就学前のお子さんなら、まず嫌がって大声を出し、咳き込み、ひどい場合は大暴れすることもあります。子供からしたら、具合が悪くて病院につれていから、知らない大人に鼻に綿棒を入れられるわけですから、それは発狂したくなりますよね。そんなことを考えながら、これまで診療にあたってきた方がほとんどなのではないでしょうか。
とはいえ、新型コロナウイルスに関しては、「できれば感染したくない」と考える医療者がほとんどと思います。このため、咽頭や鼻からぬぐい液を採取する場合、きちんとした防御がなければ、感染のリスクはそれなりにあると思います。
臨床上、症状のあるお子さんの検体を採取するケースが多いと思うので、黒色と灰色の実践が問題になるのではないでしょうか。
確かに、頰からとった検体のほうがcycly thresholdが上がっています。本文中にもあったように、おそらく感度は下がってしまうのでしょう。
どのあたりで折り合いをつけるかは難しいところですね。
感染のリスク、感染防御に必要なもののストック、患者背景など、いろんな要素が絡んできそうです。
まとめ
頬粘膜から検体を採取することは上咽頭よりも安全性は高いですが、小児のスクリーニング検査としてはやや感度が下がることが示唆されています。
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