今回は、小児ITP患者において、IVIGとステロイドを比較したメタ解析になります。
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小児のITPにおいて、ステロイドとIVIGを比較したメタ解析です。
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IVIGのほうが血小板数の増加のスピードは早く、数日以内の改善を目指すのであればメリットがありそうです。
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一方で、この急速な回復が頭蓋内出血の予防に寄与するかははっきりとわかりません。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
小児の急性免疫性血小板減少性紫斑病 (Acute ITP) の初期治療に関して、ステロイドと免疫グロブリン静注療法 (IVIG) の効果を比較する。
方法
ステロイドとIVIGを比較したランダム化比較試験の系統的レビューとメタ解析を実施した。
系統的レビューは8つの電子データベース、会議抄録、専門家へのコンサルテーション、および手検索参考文献リストから特定した。
2名の研究者が独立して潜在的に適格な研究をレビューし、データを抽出した。
治療開始48時間後の血小板数>2万/mm^3の患者数が主要アウトカムであった。
ランダム効果モデルを用いてプールし、リスク比 (RR) リスク差、number needed to treat (NNT) を計算した。
結果
合計1248のabstractがレビューされ、 55の論文が検索され、 10の論文がメタ解析に含まれました。
48時間後の血小板数>2万/mm^3のRR (ステロイドvs IVIG)は、0.74 (95%信頼区間:0.65〜0.85)で、 NNTは4.55 (95%信頼区間:3.23〜7.69)であった。
結論
急性ITPに対してステロイドで治療された小児は、 IVIGで治療された小児と比較して、 48時間の治療後に血小板数>2万/mm^3́になる可能性がリスク比にして26%低い。
頭蓋内出血 (ICH) の病因における血小板数低下の重要性を考えると、この差は重要な臨床的意味を持つ可能性がある。
考察と感想
ITPの治療でステロイド、IVIGのどちらも使用したことはありますが、IVIGのほうが急速に血小板が上昇する印象でしたが、データでも同様の結果が出ていたようですね。
この論文の著者らは、頭蓋内出血と関連されて最後に論じていますが、これはやや言い過ぎな気もします。血小板数がそれほど低くなくても頭蓋内出血を起こすこともありますし、IVIGを使用しても生じている例もあります。
まとめ
今回は、小児のITPにおいて、ステロイドとIVIGを比較したメタ解析です。
IVIGのほうが血小板数の増加のスピードは早く、数日以内の改善を目指すのであればメリットがありそうです。
一方で、この急速な回復が頭蓋内出血の予防に寄与するかははっきりとわかりません。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
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