今回の研究は、トルコで行われたIVIGとステロイド大量投与を比較したRCTになります。
- トルコで行われたIVIGとステロイド大量投与を比較したRCT
- 2つの治療成績はほぼ同等
- ステロイドの治療レジメンは、現代の一般的な使用の仕方と随分異なる
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
小児の急性ITP における最も一般的な死亡原因は頭蓋内出血 (ICH) である。
ICHは、血小板数が2万/μl以下の小児の約0.1%に起こると推定されている。
方法
- 典型的な小児のITP
- 血小板数 < 2万/μl
の患者を対象に、ランダム2群に分けた:
- mPSL 30 mg/kg/日 x 3日間 + 20 mg/kg/日 x 4日間 (n = 20)
- IVIG 1 g/kg/日 x 2日間
患者の血小板数を、診断時、 2, 4, 7, 14, 30, 60, 90,120,150, 180日目、 6か月後と測定した。
結果
両群の平均血小板数は徐々に増加し、7日目にピークに達した。
0, 2, 4, 7, 14日目の平均血小板数は両群間に有意差はなかった.
血小板数が2万/μg以上になるまでの平均日数は、 MDMP群4.1日、 IVIG群2.9日であった。 5万/μl以上になるまでの平均日数はMDMPで5.0日、IVIGで5.2日であった。
治療2日目で血小板数が2万/μl以上の患者の割合は、 MDMP群で50%、 IVIG群で86%であった。
慢性ITPは、 MDMP群では5人の患者 (25%) で、 IVIG群では4人の患者 (18%) で生じた。
結論
免疫グロブリン静注療法 (IVIG) (1 g/kg/日、 2日間)とMDMP療法(30 mg/kg/日を3日間、20 mg/kg/日を4日間経口投与)は、急性ITPの治療にほぼ等しく有効である。
著者らは、ステロイドの低コスト、副作用、および経口投与可能のため、小児ITPの治療ではステロイドの経口製剤のほうが好ましいと結論している。
考察と感想
IVIGとステロイド大量投与ですが、ステロイドのレジメンの量が多すぎて、現在の治療の一般的な量をはるかに凌駕しているようです。一方で、治療効果のデータをみていくと、IVIGとほぼ同等か、それより若干劣るかもしれないデータかもしれないですね。
同じような効果なら、安価であるステロイドを、というのも考え方の1つと思います。
まとめ
今回の研究は、トルコで行われたIVIGとステロイド大量投与を比較したRCTになります。
この2つの治療成績はほぼ変わらなかったようです。
一方で、ステロイドの治療レジメンは、現代の一般的な使用の仕方と随分異なる印象です。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
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