今回は、小児ITP患者において、IVIGとステロイドを比較したランダム化比較試験があります。
- 小児のITPにおいて、高用量ステロイドとIVIGを比較したRCT
- どちらも血小板数の増加速度は変わらない
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
急性ITPの治療のために、高用量のメチルプレドニゾロンと免疫グロブリン静脈内投与を比較した。
方法
トルコで行われたランダム化比較試験になります。
57人の小児ITP患者を、
- 免疫グロブリン製剤:0.5 gm/kg/日 x 5日間(n=19)
- 経口投与メチルプレドニソロン:30 mg/kg/日 x 7日間 (n=19)
- 経口投与メチルプレドニソロン:50 mg/kg/日 x 7日間(n=19)
のいずれかに無作為に割り振った
結果
血小板数は治療開始後2, 4, 6, 8, 14, 30日目に計測したが、異なる治療グループ間での差は、ほとんど認めなかった。
結論
これら2つの治療法は同等に有効であり、コストと治療に関連するリスクに応じて選択することができる。
考察と感想
結構なステロイドの量ですね。mPSL 30〜50 mg/kg/日を7日は、国内ではあまり一般的な方法ではない気もします。しかも経口投与のようで。
「血小板数に差は認めなかった」と本文では書かれていますが、実際にデータをみてみると、IVIGとmPSL 30mg/kgのレジメンは同じような結果ですが、ステロイドは 50 mg/kgに増量したほうが血小板の上昇カーブは上にある印象でした。
まとめ
今回は、小児のITPにおいて、高用量のステロイドとIVIGを比較したメタ解析です。
高用量のステロイドとIVIGを比較した場合、血小板数の増加のスピードはほとんど変わらなかったようです。
一方で、早期に治療したとしても、頭蓋内出血を起こしてしまう例もあったようです。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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