今回は、周術期における抗菌薬の適正使用に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:周術期における抗菌薬の適正使用
- 予防に広域抗菌薬を使用したり、予防を継続しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
周術期で合併症のない場合、予防に広域抗菌薬を使用したり、予防的投与を継続しない[Choosing wisely]
Don’t use a broad spectrum antimicrobial agent for perioperative prophylaxis or continue prophylaxis after the incision is closed for uncomplicated clean and clean-contaminated procedures.
When indicated, the timely administration of perioperative antibiotics can reduce post-operative infections when narrow spectrum antibiotics (eg, cefazolin) are given before surgery. Perioperative prophylaxis should not be continued after the incision is closed for uncomplicated clean and clean-contaminated procedures (ie respiratory, gastrointestinal, or genitourinary sites are breached but without infection or inflammation. Clean contaminated procedure is when you cross the respiratory, GI, or urogenital tract without gross contamination.) Broad spectrum antibiotics and longer durations of therapy have not been shown to be more beneficial and these practices contribute to the development of antimicrobial resistance and the emergence of pathogenic organisms (eg, Clostridium difficile). Both the dose and timing of perioperative antibiotic administration are important for optimal effect. Many studies show poor adherence to published guidelines on use of perioperative antibiotics, which emphasizes the need for ongoing quality improvement approaches in this area.
合併症のない清潔な切開を閉じた後、清浄汚染された手技で切開を閉じた後、周術期の細菌感染の予防に広域スペクトル抗菌剤を使用したり、予防を継続したりしてはいけない。
適応があれば、狭域抗生物質(例:セファゾリン)を術前に投与し、周術期抗生物質をタイムリーに投与することで、術後の感染症を減らすことができる。
周術期の予防は、合併症のない清浄汚染された手技では、切開が閉じられた後に継続すべきではありません。(すなわち、呼吸器、消化器、または泌尿器の部位が破れているが、感染や炎症がない場合;清浄汚染された手技とは、呼吸器、胃腸、泌尿器のいずれかの部位を越えても、重大な汚染がない場合をいう)。
広域抗生物質の投与や治療期間の延長は、より有益であることが示されておらず、これらの行為は、抗菌薬耐性の発生や病原性生物(例:クロストリジウム・ディフィシル)の出現の一因となっています。
最適な効果を得るためには、周術期の抗生物質投与の量とタイミングの両方が重要である。多くの研究では、周術期の抗生物質の使用に関する公表されたガイドラインの遵守率が低いことが示されており、この分野における継続的な品質向上アプローチの必要性が強調されている。
考察と感想
周術期における抗菌薬の適正使用に関してでした。
“uncomplicated clean and clean-contaminated procedures”の訳と意味がちょっと自信がないですが…、外科系や感染症の先生なら分かるのでしょうか。私の勉強不足ですね。
参考文献も読んでみようと思います:
Berrios-Torres S, Umscheid C, Bratzler D, et al. Centers for Disease Control and Prevention Guideline for the Prevention of Surgical Site Infection, 2017. JAMA Surg. doi:10.1001/ jamasurg.2017.0904.
Bratzler DW, Dellinger P, Olsen KM et al. Clinical practice guidelines for antimicrobial prophylaxis in surgery. Am J Health Syst Pharm 2013:70:195-283.
European Centre for Disease Prevention and Control. Systematic review and evidence-based guidance on perioperative antibiotic prophylaxis. Stockholm: ECDC: 2013. Doi 10.2900/85936.
TSteinberg JP, Braun BI, Hellinger WC et al. Timing of antimicrobial prophylaxis and the risk of surgical site infections: results from the Trial to Reduce Antimicrobial Prophylaxis Errors. Ann Surg. 2009;250: 10-6. doi: 10.1097/SLA.0b013e3181ad5fca.
Ranji Sr, Shetty K, Posley KA et al. Prevention of Healthcare-Associated Infections. Vol 6 of: Shojania KG, McDonald KM, Wachter RM, Owens DK, editors. Closing the Quality Gap: A Critical Analysis of Quality Improvement Strategies. Technical Review 9 (Prepared by the Stanford University-UCSF Evidence-based Practice Center under Contract No. 290 02-0017). AHRQ Publication No. 04(07)-0051-6. Rockville, MD: Agency for Healthcare Research and Quality. January 2007.
まとめ
今回は、周術期における抗菌薬の適正使用に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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