百日咳の原因について
百日咳は、百日咳菌という細菌に感染して起こります。
百日咳菌には、B. pertussisとB. parapertussisの2種類います。
百日咳は世界的にずっと流行していて、全世界で年間20〜30万人が死亡しているといわれています。
日本を含む先進国での死亡例は少ないですが、ワクチンの効果が切れた青年・成人がかかってしまうことがあります。
さらに、この罹患した成人から、ワクチンを打っていない乳児への感染も問題視されています。
百日咳の症状について
百日咳には3つのフェーズがあり:
- カタル期(約2週間)
- 痙咳期(約2〜3週間)
- 回復期(2〜3ヶ月)
の3つの期間です。
① カタル期について
カタル期の症状は、咳・鼻水といったカゼの症状です。
この時期は非常に感染力が強いのですが、症状が風邪と変わらないので診断が困難です。
② 痙咳期について
痙咳期には短い咳が連続的に起こります。
これに続いて、息を吸う時にヒューっという音(笛音)が出ます。
さらにミルクなどを嘔吐してしまうことがあります。
この一連の発作を繰り返します。
激しい咳のため、顔が浮腫んだり、顔面に点状の出血が出たり、眼の結膜に出血することがあります。
特に生後3ヶ月未満は要注意
生後3ヶ月未満では、症状が非典型的のため、嘔吐や無呼吸発作が唯一の症状のことがあります。
重症化しやすいので、この時期は非常に注意が必要です。
若い成人が、知らずに周囲に撒き散らすことも
青年が罹患した場合は、長引く咳が多いです。
乳児ほどひどくなることはないため、診断・治療をされず、周囲にまき散らしてしまうことがあります。
③ 回復期について
回復期にはいると、徐々に咳がおさまってきます。
しかし、この時期にカゼをひくと、また症状がぶりかえすことがあります。
百日咳の検査について
百日咳の検査には;
- 血液検査
- レントゲン
- 培養・PCR/LAMP法
があります。
① 血液検査
血液検査では、白血球の増加が特徴的です。
通常の白血球は5000~10,000/mm3くらいですが、百日咳にかかると15,000〜100,000/mm3にまで増加することがあります。
また、白血球の種類としては、リンパ球の数が増えるのが特徴的です
また、血液検査では抗体値をみることもできます。
流行株である山口株の抗体が;
- 2週間以上あけて2回測定し、4倍以上に増加
- 単独で10倍以上の抗体値
があれば、百日咳の診断をします。
最近では、PTに対するIgGという抗体をみることもできます;
- 2回採取して2倍以上の上昇
- 単回で100 U/mL以上
を診断基準にしています。
② レントゲン
レントゲンではあまり特徴的な所見はありません。
肺炎や気管支炎のように見えることもあれば、無気肺といって肺の一部がしぼんでいることもあります。
③ 培養・PCR/LAMP法
実際に細菌を喉から採取して、培地で育てたり、遺伝子検査をする方法です。
培地でそだれる培養検査は時間がかかってしまうため(数週間)あまり行われることはありません。
最近はPCRやLAMP法で診断をつける機会が増えてきました。
この検査は比較的はやく(数日以内)、正確な検査ができるのが特徴です。
百日咳の治療について
百日咳は治療を行いますが、これには2つの意味合いがあり;
- 重篤な症状を減らす
- 他の人への感染を予防する
を目的に治療をしています。
抗生物質について
具体的にはマクロライド系の抗生物質を使用します。
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンといった抗生物質です。
生後1ヶ月未満の子には肥厚性幽門狭窄のリスクが上がるためエリスロマイシンは使えないため、アジスロマイシンを使います。
治療して5日くらいすると、感染性は弱まるといわれています。
ワクチンで感染予防をしておきましょう
百日咳の予防には、ワクチン接種が非常に重要です。
青年・成人の方も再度接種されることをオススメしています。