ステロイド軟膏の使い方まとめ
- ステロイド軟膏は湿疹に、保湿剤は乾燥肌に使う
- ステロイド軟膏は皮膚の炎症を抑えます
- 適切に使えば、高い効果を得られ、副作用は少ないです
- 最初はしっかり塗って、徐々に塗る回数を減らしましょう
ステロイド軟膏と保湿剤の使い分けについて
まずはステロイド軟膏(外用薬)と保湿剤の使い分けです。
ステロイド軟膏は湿疹のある場所に、保湿剤は皮膚が乾燥してガサガサしている場所に塗りましょう。
湿疹の出やすい場所
『湿疹のある場所って?』
と思われる方がいるかもしれません。
簡単にいうと湿疹は『皮膚が赤くなったり、搔き壊してかさぶたになっている場所』です。
湿疹の出やすい場所はある程度決まっています。
(正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎)
ステロイド外用薬には、いろいろと種類があります
ステロイド外用薬は『皮膚にある炎症を抑える』塗り薬です。
強さは5段階に分かれていて:
- I群:Strongest; 湿疹が非常にひどい場所(デルモベートなど)
- II群: Very strong;大人の体に使う(アンテベートなど)
- III群: Strong;赤ちゃん・こどもの体に使う(リンデロンなど)
- IV群: Mild;主に顔など皮膚の薄いところ(ロコイドなど)
- V群: Weak;目のまわり(コルテスなど)
とI群〜V群に分類されてます。
ステロイド外用薬の使い分けについて
使い分けは、湿疹の重症度、出ている場所、年齢を参考にして、使う外用薬を選択しています。
小児ではIII群〜V群の外用薬を使うことがほとんどで、I群やII群の強いステロイド軟膏を使う機会は少ないです。
私個人としても、I群やII群のステロイド軟膏を使うときは、皮膚科の先生に相談したりしています。
ステロイド外用薬は使い方が大事
ステロイド外用薬は、適切に使えば高い効果を得られ、副作用も少ないです。
逆に間違った使い方をすると、湿疹が長引き、皮膚がなかなか綺麗になりません。
よくみる間違った使い方
外来でよく遭遇する間違った使い方は:
- 湿疹が出たときだけ使用している
- 薬がなくなったから、自己判断で使用をやめる
- ちょっとずつ使う、薄く塗る
- 顔用にもらったのを、体に使う
- 皮膚に擦り込むようにして使う
などです。
最初はしっかり塗って、皮膚の炎症を早く止めましょう
湿疹は皮膚に炎症が起きた状態ですので、皮膚の炎症がしっかりと消えるまでステロイド外用薬は使用する必要があります。
見た目の皮膚の赤みが消えても、皮膚の深い場所では炎症が続いていることがありますので、突然すぐにやめるのでなく、徐々に軟膏をやめていくのがよいでしょう。
薄く塗る必要はありません
ステロイド外用薬の強さは、処方される医師で決めてくれているので、薄く塗る必要はありません。
むしろ、薄く塗ってしまうと、本来のステロイド外用薬の効果が弱まってしまい、湿疹が長引き、かえって外用薬を長く塗る必要がでてきます。
ステロイド外用薬は、「使い方」と「やめ方」が大事と覚えておきましょう。
外用薬を塗る量と面積の目安を覚えましょう
よく言われているのは『フィンガー・チップ・ユニット 』といわれる方法です。
塗る量は、人差し指の第一関節までの量(約0.5g)で、
塗る面積は大人の両手のひら分の面積になります。
例えば、両腕・両脚にまんべんなく湿疹がある状態ですと、フィンガー・チップ・ユニットでいえば「4」必要です(かなり悪い状態です)。
この場合「0.5g×4 = 2g」を使用することになります。
ステロイド軟膏は1本5gが多いので、2日くらいで1本終わってしまいます。
湿疹の状態が悪いときは、最初は少し多めにステロイド軟膏を使用する理由がわかっていただけると思います。
軟膏はたっぷり塗りましょう
皮膚を塗るときのイメージとしては図のように、湿疹で凸凹している皮膚をしっかり軟膏で覆ってあげましょう。
少しベタベタしているかなと思うくらいが丁度良いです。
軟膏を塗るベスト・タイミングは「おふろ上がり、体を拭いた後すぐ」です。
治療期間の目安について
ステロイド外用薬を使うときの、湿疹の治療の基本的な流れですが、
- まずは数日〜1週間は1日2〜3回しっかり塗る
- 皮膚が綺麗になっても1〜2週間はしっかり続ける
- その後に徐々にステロイドの外用薬を減らしていく
(1日2回塗っていたら1日1回へ減らす) - 悪化したときだけステロイドを間欠的に塗る
の4ステップです。
ポイントとして『最初はたっぷり使い、減らすときは徐々に』です。
乳幼児であれば、数ヶ月から1年程度で、保湿剤だけで症状がでなくなります。
慌てず、ゆっくり、根気よく、続けるようにしましょう。
◉ アトピー性皮膚炎でお悩みや不安があるようでしたら、こちらの本がオススメです。ベテランのアレルギー科の専門医の先生が非常に分かりやすく、シンプルに記載してくれています。