- 「プロバイオティクスはどのくらい使用すれば効果があるのだろうか?」
- 「プロバイオティクスは沢山飲んだ方が、より効果がまずのだろうか?」
といった疑問に答えようとした論文を発見しましたので、こちらでご紹介させていただきます。
対象はインドにおける小児の下痢でして、Lactobacillus rhamnosus GGというプロバイオティクスを使用して、下痢の期間を短くするのに有効か否か、用量反応関係があるのかを調査しています。
プロバイオティクスの研究は小児の胃腸炎でも盛んに行われているようです。しかし、菌株が異なったり、用量が異なることもあります。
Lactobacillusは最も多く研究されている菌株の1つですが、今回の研究では菌数を増やせば有効性が高まるかどうかを確認しています。
研究の方法
今回の研究は、インドにおいて、
- 下痢で入院
- 3回以上の水様性下痢がある
- 血便なし
- 重症疾患なし
- 基礎疾患なし
などを対象に研究されました。
治療は以下の3パターンをランダムに割付ているます:
- コントロール
- LCG 10^10 CFU (100億)
- LCG 10^12 CFU (1兆)
経口補水液の中にプロバイオティクスを入れることで、盲検をしたようです。
1日2回投与を7日間継続し、アウトカムを評価しています。
アウトカムは、
- 下痢の期間
- 下痢の頻度
- 嘔吐の頻度
を見ています。
研究結果と考察
合計で559人の患者が参加し、
- コントロール群:185人
- 通常量:188人
- 高用量:186人
となっています。患者背景は、
- 平均:1.6歳
- 男女比:1対1
- 重度の脱水: 20%
アウトカムについて
こちらがアウトカムのTableになります。
- Group A: コントロール
- Group B: 通常量
- Group C: 高用量となっています。
ANOVA検定ですので、
- H0: Group A, B, Cのアウトカムは等しい
- HA: 少なくとも1つのグループは、他のグループと異なる
を検定しています。3つのグループを一度に検定しています。
主に最後の方の「average duration of diarrhea」がアウトカムですが、
- Group A: 7.2日
- Group B: 5.02日
- Group C: 5.12日
となっています。どうやらプロバイオティクスを追加した方が2日ほど下痢の期間が短くなっていますが、量を多くしたからといって、効果も増すわけでななさそうです。
入院日数を見てみると、
- Group A: 9.75日
- Group B: 6.21日
- Group C: 6.24日
と、やはりコントロールグループが3日ほど長くなっています。
医療資源の限られている国にとって、3日間は非常に大きいのではないでしょうか。
Pairwise comparison(組み合わせでの解析)について
こちらがグループ同士の組み合わせで検定した結果です。
乳酸菌は投与した方が成績が良さそうですが、大量に投与したからといって、何か変わる訳ではなさそうですね。
まとめ
今回の研究では、インドで下痢のため入院した小児において、プロバイオティクスの有効性を検討しています。
プロバイオティクスを使用した方が、下痢の期間や入院日数も短くなる傾向にありました。
一方で、プロバイオティクスを大量に投与したからといって、より有効性が増すわけではなさそうです。