インフルエンザは鼻汁や唾液などの飛沫から感染することがありますが、特に感染性が高いのは最初の3日と考えられています。
成人の場合は、5日ほどすれば、ウイルスの排泄量はかなり減って、感染性がかなり低下するのがわかっているようですね。
インフルエンザと他のウイルス感染症の区別は、臨床的につけることは困難です。検査の是非はともかくとして、診断の精度を上げるには、迅速検査を用いることができますが、この検査にも感度・特異度があり、時間によって異なります。
今回は、成人の研究になって今いますが、検査のタイミングによって感度がどのくらい変わるかを報告しています。
- 2004/05にスイスの成人で行われた研究
- インフルエンザの迅速検査の感度・陰性的中率に関して
- 感度:〜3日は71%、4〜5日は43%、5日〜は14%
- NPVは80%ほど
研究の方法
今回の研究は、2004-05で、スイスで行われた研究になります。対象となったのは、
- 18歳以上の成人
- 発熱・感冒症状などで受診
が該当しています。
検査について
検査は、
- Membrane immunochromatography (BinaxNow Influenza A/B)
- PCR
を両方行い、妥当性の評価をしています。
研究結果と考察
最終的に277人が研究に参加しています。
感度とNPVの推移は以下の通りでした
感度とNPV
感度 | NPV | N | |
1-3日 | 71% | 80% | 137 |
1-5日 | 63% | 77% | 195 |
5日以上 | 14% | – | 64 |
全体 | 52% | 73% | 259 |
今回は「1-3、1-5、5日以上」という不思議な分け方をしていますが、最初の3日間の感度が最も高かったですね。4−5日目の感度は、1-3日目の感度で相殺されていると考えると、63%よりもっと低いと思います(手計算をしてみると、43%)。
陰性的中率は80%ほど。つまり、検査が陰性と言われても、実はインフルエンザだった人が2割ほどいるという推定になります。
感想と考察
もう少し細かく日付を区切ってくれると、他のデータと合わせて考慮することができたように思います。
まとめ
成人の場合、インフルエンザの迅速検査は、発熱して数日以内の感度は70%くらいでした。
陰性的中率は80%ほどで、2割は本当はインフルエンザがあるが、陰性と判断されてしまうようです。
- 2004/05にスイスの成人で行われた研究
- インフルエンザの迅速検査の感度・陰性的中率に関して
- 感度:〜3日は71%、4〜5日は43%、5日〜は14%
- NPVは80%ほど
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