小児科

リツキシマブに反応性が良好であった慢性ITPの患者の1年後の経過は?[アメリカ編]

今回は、小児の慢性ITPにおいて、アメリカで行われた研究を紹介します。

この研究では、リツキシマブを使用した前向きのコホート研究になります。先日紹介した文献の続編ですね。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

参考文献

One Year Follow-Up of Children and Adolescents With Chronic Immune Thrombocytopenic Purpura (ITP) Treated With Rituximab

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

著者らは以前、重度の慢性免疫性血小板減少症の小児および青年においてリツキシマブが有効であると思われることを前向き研究で示した。

[リンク]

36人の患者中11人は、最初の12週間以内に5万/mm^3́以上の血小板数を達成し、維持した。

これらの患者を次の1年間追跡した。

方法

血小板数を毎月モニタリングし、その後のすべての出血症状とさらなる治療の必要性を記録した。

リツキシマブの投与量は以下の通りだったようです:

Rituximab (anti-CD20; Genentech, South San Francisco, CA; Biogen, Cambridge, MA; IDEC, San Diego, CA) was given as an intravenous infusion at a dose of 375 mg/m2 weekly for 4 doses (days 1, 8, 15, and 22).

結果

前回の論文では、患者36人中11人(31%; 95%信頼区間, 16%~48%)の反応性が良好であった。

この11名の初期応答者のうち8名は更なる治療介入なしで15万/mm^3́以上の血小板数を維持した。

3人の患者は後期に再発した。

このうち1名の初期非応答者は16週後に寛解を達成し、 2名の患者はさらなる介入を必要とせずに約5万/mm^3́の血小板数を維持した。

結論

リツキシマブは、 36人の患者中11人 (31%) で血小板数 > 5万/mm^3́の持続的な効果を認めた。

考察と感想

アメリカの10施設で行われた臨床研究の続編ですね。

リツキシマブで反応性がよければ、その後の血小板の推移は比較的良好なようですね。

Dr.KID
Dr.KID
日本ですと、保険適応など別の問題もありそうですが。。。

まとめ

今回は、小児の慢性ITPにおいて、リツキシマブを投与した場合の経過をおった研究です。

治療反応性を認めたのは31%で、1年後の経過もかねがね良好だったようですね。

 

 

created by Rinker
¥4,950
(2024/12/21 20:19:35時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/21 02:10:51時点 Amazon調べ-詳細)

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。