米国では、RSウイルスは小児の下気道感染症において最も多い感染症といわれているようです。たとえば、アメリカでは210万人の5歳未満の小児が医療機関に受診しているという推定もあるようです。
RSウイルス感染と聞くと、入院や重症化といったことを気にされる保護者の方々も多いですが、大半は軽症でおわり、一部が入院を要します。今回は、月齢や年齢によって異なる入院率について解説していければと思います。
- アメリカにおいて、RSウイルス感染の入院率を推定した研究
- 生後2ヶ月未満は高く、24ヶ月以降は入院率は非常に低い
Stockman LJ, et al. Respiratory syncytial virus-associated hospitalizations among infants and young children in the United States, 1997-2006. Pediatr Infect Dis J. 2012 Jan;31(1):5-9
研究の方法
今回の研究はNational Hospital Discharge Survey(NHDS)というデータとICD-9-CMとNew Vaccine Surveillance Networkを用いて行われた研究です。5歳未満の小児の入院を対象に行なわれています。
月齢でわけて入院率と95%信頼区間を提示しています。
研究結果と考察
月齢別でみた入院率について
月齢 | 入院率 (/1000 children) |
95%CI |
0-2 | 48.9 | 36.6-61.2 |
3-5 | 28.4 | 21.3-35.5 |
6-11 | 13.4 | 10.7-16.1 |
12-23 | 5.0 | 4.0-6.0 |
24-59 | 0.8 | 0.6-1.0 |
月齢が低いほど、入院率が高い傾向にあります。2ヶ月までは非常に高い入院率ですが、2歳を超えるとかなり低くなっているのが分かります。
感想と考察
RSウイルス感染を語るときにかかせないのが、月齢や基礎疾患です。月齢に関しては低いほど重症化のリスクは高く、2歳を超えると入院が必要な例は確実に減少します。
一方で、この研究では分母に使用された数字の推定値が不明確、どう95%信頼区間を計算したのかもよくわからない、という印象を受けました。分母が1000人に入院患者なのか、1000人のRSVirus感染者なのか、1000人の小児なのか、非常に重要な点だとは思うのですが、ここが曖昧でつかみどころがない結果です。
まとめ
RSウイルス感染に関して、2ヶ月未満の入院率は高く、月齢が高くなるほど入院率は減少する傾向にありました。
一方で、分母や入院率の計算方法が曖昧で、再現性が難しい研究の印象も受けてしまいました。
- アメリカにおいて、RSウイルス感染の入院率を推定した研究
- 生後2ヶ月未満は高く、24ヶ月以降は入院率は非常に低い
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