インフルエンザ迅速検査の感度と特異度について沢山解説してきました。今回は、RSウイルスの迅速検査における感度と特異度を調査した研究を発見したので、そちらを解説させていただければと思います。
- RSウイルス迅速検査のシステマティックレビューとメタ解析
- 感度は80%、特異度は95%ほど
Diagnostic Accuracy of Rapid Antigen Detection Tests for Respiratory. Syncytial Virus Infection: Systematic Review and Meta-analysis. Journal of clinical microbiology. 2015;53-3738-3749.
研究の方法
今回の研究は、
- Pubmed
- Embase
を利用して行われたsystematic reviewとmeta-analysisです。
検査について
検査の感度・特異度に関しては、
- bivariate random-effects regression model
- minds (Stata)
などを利用してデータの統合を試みています。
研究結果と考察
最終的に71の研究が解析の対象となりました。83%の研究は小児 (N = 63) でした。
ゴールドスタンダードは、
- ウイルス培養
- PCR
- 免疫染色
のいずれかを使用しています。
全体の感度・特異度
小児における感度・特異度は以下の通りでした(N = 63):
- 感度:81% (78%-84%)
- 特異度:96% (95%-98%)
ちなみに、成人の結果は以下の通りです:
- 感度:29% (11%-48%)
- 特異度:99% (98%-100%)
かなり感度低いですね。
製品によって感度は異なるか?
RSウイルスの迅速検査もいくつかありますが、感度が異なるかをみています:
- Abbott TestPack RSV
- Directigen RSV
- Directigen EZ RSV
- Binax Now RSV
- RSV Respi-Strip
の5種類で感度・特異度を比較しましたが、感度は80%、特異度は95%くらいでした。
スポンサーがある方が感度が高い
スポンサーからサポートをもらって行われた研究のほうが感度は高くでています:
- あり:感度 87%(83%-90%)
- なし:感度 78%(75%-82%)
スポンサーがあるほうが結果が良いのは興味深い結果ですね。インフルエンザの検査なども、同様の結果があるかも気になるところです。
感想と考察
RSウイルスの迅速検査ですが、感度は思ったより低かったです。
感度は80%くらいですので、逆にいうと20%くらいは見逃してしまう可能性があるようです。
まとめ
今回のシステマティックレビューとメタ解析によると、小児の感度は80%ほど、特異度は95%ほどのようですね。
小児の研究数は60ほどあり、信頼してよい値と思いました。
- RSウイルス迅速検査のシステマティックレビューとメタ解析
- 感度は80%、特異度は95%ほど