RSウイルスの世界的な流行
RSウイルス(Respiratory-Syncytial virus)は世界中で流行しており、季節性のアウトブレイクが特徴のようです[1]。北半球では、10-11月に始まり、1-2月にピークを迎え、4-5月に収束するパターンを示すことが多いようです[1]。また、RSウイルスは一度流行しだすと、その地域では4〜5ヶ月ほど検出されるようです[1]。
RSウイルスの日本での流行
(参考文献[2]より拝借)
上の図は、日本における近年のRSウイルスの流行トレンドを示したものです。日本の場合、7-9月前後から徐々に流行が始まり、9-10月前後にピークを迎えて収束する傾向にあるようです。
RSウイルスの感染率と年齢
RSウイルス感染は乳幼児期に起こることがほとんどです。1歳までに60–70%の乳児が、2歳までにほぼ100%の乳幼児がRSウイルスに感染するといわれています[3]。特に1歳未満で感染を起こした場合、入院率がそれなりに高く、2–3%ほどと推定されています。
アメリカでは、5歳未満のRSウイルス感染症で200万人が外来受診し、5.7万人以上が入院を要しているようです[4]。
月齢による入院率の違いをみた研究がありますが、以下のようなデータでした:
世界的には、RSウイルスによる急性下気道感染症は、5歳未満で3380万人が発症しており、320万人が入院しており、5.96万人が死亡していると推定されています(途上国のデータも含みます)[3]。
RSウイルス感染した乳児において、入院のオッズがどの程度異なるかを検討した研究があります[4]。
24ヶ月以上の小児と比較して、入院するオッズは0〜5ヶ月で16.4倍(95%CI, 8.1–32.1)、6〜11ヶ月で3.2倍(1.1–7.0)、12〜23ヶ月で2.7倍(1.1–6.2)でした。
このように、特に生後半年未満のお子さんは重症化して入院しやすい傾向にあります。
まとめ
RSウイルスの季節性と入院率について簡単にまとめました。
乳幼児に多い感染症で、月齢が低いほど重症化して入院率が高くなる傾向があります。
季節性があり、近年の日本の場合は夏〜秋にかけて流行するようです。
参考文献
- Hall, C. B. et al.The burden of respiratory syncytial virus infection in young children. N. Engl. J. Med.360, 588–98 (2009).
- 東京都感染症情報センター. RSウイルス感染症の流行状況. 2019
- Obando-Pacheco, P. et al.Respiratory Syncytial Virus Seasonality: A Global Overview. J. Infect. Dis.217, 1356–1364 (2018).
- Rose, E. B., Wheatley, A., Langley, G., Gerber, S. & Haynes, A. Respiratory Syncytial Virus Seasonality – United States, 2014-2017. MMWR. Morb. Mortal. Wkly. Rep.67, 71–76 (2018).