新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内感染が蔓延している地域において、対面授業を伴う学校内感染の頻度は不明である。
この論文が執筆された現在、全米の多くの学区では、2学期の対面授業を再開するかどうかを決定している過程にある。
著者らは、10 万人近くの生徒と職員が 9 週間にわたって対面授業を行った 11 の学区を調査し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の二次感染を追跡した。
その結果、各感染症例は、地域社会感染か校内感染かについて、地元の保健局によって独立して判定され、校内感染は極めてまれであることが分かった。
- アメリカのノースカロライナ州で行われた研究
- 8月中旬から対面授業を開始した学校もあった
- 学校内での二次感染は非常に少なかった
- 学校内で小児から成人に感染させた症例はなかった
2021年1月に公表されたようです。
学校再開における新型コロナウイルスの二次感染は?[アメリカ編]
研究の背景/目的
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の蔓延を緩和するため、ノースカロライナ州(NC)は2020年3月14日にK-12の公立学校を対面授業に閉鎖した。
2020年7月15日、ノースカロライナ州知事は、学校は遠隔教育で開校するか、対面授業と遠隔教育を組み合わせた「ハイブリッド」モデルで開校することができると発表した。
2020年8月、ノースカロライナ州の115校区のうち56校区がABC Science Collaborative(ABC)に参加し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を防ぐ公衆衛生対策を実施し、学んだ教訓を共有した。
今回は、2020/21年度の学年度の、最初の9週間の対面指導の間に参加したNC学区内での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の二次感染について記述する。
研究の方法
2020年8月15日から2020年10月23日まで、ABCsに参加した56学区のうち11学区が第1四半期[全9週間]の対面授業を開始し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の発生率と二次感染を追跡することに同意した。
地元の保健局のスタッフが二次感染の判定を行った。スーパーディレクターは毎週ABCsの教員と会い、学んだことを共有し、予防法を開発しました。
研究の結果
9週間の間に、11の参加学区で9万人以上の生徒と職員が直接学校に通い、そのうち773人の市中における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が分子検査(PCRなど)で確認された。
ノースカロライナ州保健局のスタッフは、接触者の追跡を通じて、さらに32人の感染者が学校内で感染したことを確認した。
学校内での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の子供から大人への感染は報告されていない。
結論
NCの学校での最初の9週間の対面指導では、接触者の追跡によって確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内二次感染は極めて限られていた。
考察と感想
いろんな先生方がTwitterで呟かれていたので、読んでみました。さすが、皆様の感度は高く、いつも早いですね:
米国North Carolinaの11の学校(8/15-10/23にopen)で対面授業がされた9週間(9万人以上)で学校内二次感染はほとんどないとのことです。
Incidence and Secondary Transmission of SARS-CoV-2 Infections in Schools https://t.co/fsKhiBTnBA— 伊藤健太 小児感染症のトリセツREMAKE【増刷決定!】 (@peaceplease1981) January 9, 2021
学校生活においても感染予防のための対策は徹底されていたようで、
- マスク着用
- 昼食時は屋外でとるか、距離をとる
- 食事のためマスクを外す前に。調理は完了しておく
- 食事は15分以内
- 食事中の会話は避ける
といった対策が徹底されていたようです。マスクがつけられない場合も、フェイスシールドなら大丈夫かなど検討もされていたようです。
1箇所の学校では早期はマスク着用を義務付けなかったようですが、クラスターが発生して、方針が変更された旨も記載されていました。
まとめ
ノースカロライナ州(NC)の学校での最初の9週間の対面指導では、接触者の追跡によって確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内二次感染は極めて少なかった。
また、学校での小児から成人への二次感染は認められなかった。
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