スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
今回の研究では、スクリーンタイムと集中力の持続時間の関連性を検討しています。
- 実験室にて、テレビがついている場合とそうでない場合の小児の行動を観察
- テレビがついていると、数分に1回はみていた
- 遊びの集中力の持続時間が、テレビによってやや短くなる傾向に
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
この研究では、大人のテレビ番組が背景で流れていると、幼児の行動にどのような影響を与えるかを検証した。
方法
生後12, 24および36か月の幼児50人を対象に研究が行われた。
ファミリールームに似た実験室スペースで、おもちゃを使った遊びを1時間観察した。
一時間の半分は、成人向けのテレビ番組が、テレビの背景で流れていた。
残りの30分はテレビがついていなかった。
同じ被験者で暴露あり/なしを比較していますね。このような研究を「cross-over design」などと言ったりします。
結果:
子どもたちはテレビを一度に数秒しか見ておらず、1分に1回も見ていませんでした。
それにもかかわらず、背景テレビはおもちゃの遊びのエピソード長さを減少させ、遊び中の注意を集中させた。
結論
このように、テレビをつけっぱなしにした状態は、幼児たちがほとんど注意を払っていない場合でも、遊びや行動の注意力を散乱させる可能性がある。
これらの知見は、その後の認知発達に影響を及ぼす可能性があることが示唆される。
考察と感想
30分という短い時間での調査ですが、例え大人用のテレビ番組であっても、テレビを流しっぱなしにすると、集中力が乱れる傾向にあったようです。
例えば、テレビをつけた後すぐは、0分の段階で5-10回ほどテレビを見ていたようです。
また、1つの遊びに集中している時間も、テレビがない方が長い傾向にあったようです。
まとめ
今回は、背景にテレビが流れていることが、子供の遊びにどう影響するかを検討した実験的な研究です。
結果として、大人のテレビ番組であっても流しっぱなしの状態だと、子供の集中力の持続時間が減少する傾向にあったようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
Dr. KIDが執筆した医学書:
小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/12/21 02:10:50時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています
当ブログの注意点について