賢明な医療の選択

疑わしい病歴のない低身長の評価に、慢性疾患や内分泌疾患のスクリーニング検査をルーチンにオーダーしない[Choosing wisely]

今回は、低身長と検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
低身長と検査に関して、どうなっているのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:低身長と検査に関して
  •  身長が3パーセンタイル以上で、成長率が正常で、適切な体重増加をしている健康な子供には、ルーチンで検査を行わない

  American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

疑わしい病歴のない低身長の評価に、慢性疾患や内分泌疾患のスクリーニング検査をルーチンにオーダーしない。[Choosing wisely]

Avoid ordering screening tests looking for chronic illness or an endocrine cause, including CBC, CMP, IGF-1, thyroid tests, and celiac antibodies, in healthy children who are growing at or above the 3rd percentile for height with a normal growth rate (i.e., not crossing percentiles) and with appropriate weight gain.

Even in children who are below the 3rd percentile for height with a normal history and physical exam, the incidence of newly diagnosed pathology was found to be only about 1%. In patients who have significant short stature (e.g. ≤-2.5 SD) or who are well below their genetic potential based on parental heights, tiered or sequential screening may be considered.

CBC、CMP、IGF-1、甲状腺検査、セリアック抗体など、慢性疾患や内分泌系の原因を調べるスクリーニング検査は、身長が3パーセンタイル以上で、成長率が正常(つまりパーセンタイルを超えていない)で、適切な体重増加をしている健康な子供には行わないようにしましょう。

身長が3パーセンタイル以下で、病歴や身体検査が正常な子供でも、新たに診断される病変の発生率は約1%に過ぎないことがわかりました。

著しい低身長(例:2.5SD以下)の患者や、親の身長に基づく遺伝的潜在能力を大きく下回っている患者では、段階的または逐次的なスクリーニングを検討することができる。

考察と感想

低身長の検査に関するchoosing wiselyですね。

著しい低身長やそのほかの病歴のない症例でスクリーニング検査を行っても、有益な情報が得られる可能性は低く、コストがかかるため避けた方が良いのではないかという結果でした。

参考文献も読んで勉強します:

Sisley S, Trujillo MV, Khoury J, Backeljauw P. Low incidence of pathology detection and high cost of screening in the evaluation of asymptomatic short children. J Pediatr. 2013 Oct;163(4):1045-51.

まとめ

今回は、低身長と検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/11/21 16:57:28時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/21 01:10:36時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。