スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)が長すぎると、健康に悪影響を与えるかもしれない、というのは聞いた事があるかもしれませんし、なんとなく理解されている方が多いと思います。
今回は、この根拠となる研究をみていきましょう。
- スクリーンタイムと小児の肥満について
- 女児において、スクリーンタイムが長いと肥満の有病率が高い傾向
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
研究の概要
目的:
8〜16歳の米国の少年・少女におけるテレビ視聴、エネルギー摂取、身体活動および肥満の関連性を検討する。
方法:
NHANESにある、身長・体重、毎日のテレビ視聴時間、毎週の身体活動への参加、および食事面接のデータを用いて分析されています。
使用したのは、1988年〜1994年の間に、第3回NHANESに参加した4069人の子供のデータです。
メキシコ系アメリカ人および非ヒスパニック系黒人は、これらのグループの妥当な推定値を得るために、過剰にサンプル(over-sampling)をしています。
結果:
肥満の罹患率は、1日1時間以下のテレビを見ている子供の間で最も低く、1日4時間以上のテレビを見ている子供の間で最も高かった。
女児は男児よりも身体活動が少なく、1日のエネルギー摂取も少なかった。
非ヒスパニック系白人少年の方が、他の人種/民族および性別のグループよりも、週に5回以上身体活動に参加していると報告した割合が高かった。
テレビ視聴は、年齢、人種/民族、家族の収入、毎週の身体活動、およびエネルギー摂取を調整した後でも、少女の肥満と正の相関を示した。
結論:
過体重・肥満の有病率が増加するにつれ、静的な生活を減らし、より活動的なライフスタイルを促進する必要がある。
臨床医と公衆衛生関係者は、子供のエネルギー摂取量と消費量のバランスを整えるために、活動的な生活習慣を奨励すべきである。
感想と考察
テレビを視聴する時間が長いと、それだけ身体活動は制限され、肥満のリスクになると考えられています。
一方で、今回の研究は、横断調査になるため、テレビを視聴したから肥満になったのか、肥満になった子供が(体を動かすのがしんどいので)テレビをみているのか、こういった因果の方向性は単独の研究で決めるのは難しいでしょう。
まとめ
今回の研究では、テレビの視聴時間(スクリーンタイム)と肥満の有病率の相関をみています。
NHANESを利用したデータでは、女児において、スクリーンタイムと肥満において正の相関を認めています。
横断研究であり、因果の方向性については、慎重になるべきと私は思います。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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