スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
今回の研究では、保護者と子供のスクリーンタイムに関連性があるかをメインに検討した研究です。
- ポルトガルで行われた研究
- 親子のスクリーンタイムにおいて関連性があるかを検討
- 保護者が2時間以上スクリーンタイムを設けていると、小児もそのリスクが上昇する傾向
- 父親より母親のほうがこの影響は大きく、男児より女児のほうが影響を受けやすい傾向でした。
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
過去、スクリーンタイムは健康に悪影響があるかもしれないと示唆する研究が複数ある。
乳幼児のスクリーンタイムの予測因子に関するデータは、主に北米の年長児から得られている。親と家庭のメディア環境因子は、スクリーン視聴時間と関連し、介入の標的となり得る。
親のスクリーンタイムや電子機器(ゲーム機器、テレビ、パソコン、ノートパソコンへのアクセス)といった環境因子が、ポルトガル人の子供のスクリーンタイムと関連しているかどうか、および関連性が子供の年齢によって異なるかどうかを調べる(7年未満または7年以上)。
方法
データは、3歳から10歳の小児をもつ2965の家族について報告された。
データは2009~2010年に収集され、2011年に分析された。
曝露は保護者(父または母)が2時間以上テレビと電子媒体変数を見ているか否かであった。
アウトカムは、子どもが2時間以上テレビを見る、または1日1時間以上他のメディアと一緒に遊んでいる、を指標とした。
結果:
4つの性別および年齢サブグループ全てで、親のTV視聴時間は、 子供の平日および週末のTV視聴時間と強く関連していた。
父親のTV視聴時間と比較して、母親のTV視聴時間は子供のTV視聴時間のより強い予測因子であった。
親のテレビ視聴時間が、小児のテレビ以外の媒体を使用する時間との関連性は不十分であった。
電子ゲーム機器へのアクセスは、平日および週末に他の複合メディアを1時間以上使用する可能性を増加させた。
結論
ポルトガルにおいて、親のTV視聴時間は小児のTV視聴時間と関連していた。
家庭用テレビの数および電子ゲーム機器へのアクセスも、 TVおよび他のメディアの視聴/利用時間と関連していた。
考察と感想
保護者のスクリーンタイムと子供のスクリーンタイムの関連性を検討したユニークな研究だと思いました。
保護者が2時間以上スクリーンタイムを設けていると、やはり小児もそのリスクが上昇する傾向でした。また、父親より母親のほうがこの影響は大きく、男児より女児のほうが影響を受けやすい傾向でした。
まとめ
今回は、ポルトガルで行われた研究で、親子のスクリーンタイムにおいて関連性があるかを検討しています。
保護者が2時間以上スクリーンタイムを設けていると、やはり小児もそのリスクが上昇する傾向でした。また、父親より母親のほうがこの影響は大きく、男児より女児のほうが影響を受けやすい傾向でした。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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