スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
この理由の1つとして、小児の発達に与える影響が挙げられます。。
「教育用」とされた乳幼児向けのコンテンツには、「言語・論理・思考」などに役立つなどと題されていますが、その科学的な評価は不十分です。
特に2歳未満の乳幼児は、テレビ番組などメディアから学習することはできず、その時間は保護者などとの交流・双方向性の教育の機会が奪われてしまう可能性があります。
今回は、その点を見た論文をご紹介します。
- 乳幼児において、メディアへの暴露が、発達に与える影響を推定
- 8〜16ヶ月児において、DVD/ビデオなどの暴露は、言語発達の低下と関連していた
- 1日1回以上の読書・読み聞かせは、言語発達の向上と関連
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
2歳以下の子供において、メディアへの暴露時間と言語発達の関連性を検証する。
方法:
出生証明書によって識別された、生後2〜24ヶ月の合計1008人の子供の親が対象となった。
2006年2月に電話で調査され、子供と親の人口統計学、子供と親の相互作用、および子供のテレビおよびDVD/ビデオの視聴とコンテンツについて質問された。
また、MacArthur-Bates Communicative Development Inventory (CDI) の短縮版を使用して、小児のコミュニケーション面での発達を評価するよう親に求めた。
多変量回帰を用いて親と子の人口統計学および親と子の相互作用を調整して、標準化後のCDIスコアとメディア曝露の関連性を評価した。
結果:
乳児(生後8〜16カ月)においては、乳児用DVD/ビデオを1日1時間見るごとに、CDIスコアが16.99ポイント低下する傾向にあった(95%信頼区間, -26.20〜-7.77)。
幼児(生後17〜24カ月)では、曝露したメディアのタイプとCDIスコアの間にも関連性は認められなかった。
子供と親が一緒に視聴した場合は、乳幼児のCDIスコアと関連しなかった。
結論:
幼児DVD/ビデオの早期視聴と言語発達不良との関連の理由を明らかにするために、さらなる研究が必要である。
考察と感想
参考になりそうなデータは以下の通りです。アウトカムは、CDI language (言語発達のスコア)です。
8〜16ヶ月
Coefficient | 95%CI | |
保護者との関わり | ||
1日1回以上の読書 | 7.07 | 0.53〜13.60 |
1日1回以上の読み聞かせ | 6.47 | 0.23〜12.71 |
週に数回の音楽 | 5.36 | -1.92〜12.64 |
メディアの視聴 | ||
幼児用ビデオ/DVD | -16.99 | -26.20〜-7.77 |
教育的な番組 | 1.72 | -4.42〜7.87 |
映画や教育的でないTV | 6.6 | -1.81〜15.02 |
大人用のテレビ | -1.42 | -11.57〜8.73 |
保護者と一緒に視聴 | ||
めったにない・半分以下 | Ref. | |
いつも・大抵は | 5.57 | -2.1〜13.23 |
メディアは見ない | -7.70 | -15.49〜0.08 |
言葉の発達の向上に役立ちそうなのは、1日1回以上の読書や読み聞かせで、幼児用のDVDはあまりやくに立たないどころか、発達の指標に悪影響が見られていますね。
保護者と一緒に視聴すると発達の助けになるかもしれないですが、この推定は不正確ですね。
まとめ
今回の研究は、アメリカで行われた横断研究です。
生後8〜16ヶ月児において、メディア・DVDなどへの曝露は、言語発達の低下と関連している一方で、保護者との読み聞かせ・読書が1日1回以上ある場合は、言語発達の向上と関連していたようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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