小児科

新生児黄疸スクリーニングのための強膜スマートフォンアプリの検証 [ガーナ編]

今回はスマホのアプリで黄疸をどれだけ予測できるかを検証した研究をご紹介します。

マミー
マミー
赤ちゃんの黄疸ってスマホで確認できるのですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
海外ではそういうアプリもあるみたいですね。

Dr.KID
Dr.KID
論文を読んでみましょう

ポイント

  • 新生児黄疸スクリーニングのための強膜スマートフォンアプリの検証した研究

  • 感度94%、特異度73%という結果で、リソースの乏しい国では使えるツールになるかもしれません。 

参考文献

Enweronu-Laryea C, Leung T, Outlaw F, Brako NO, Insaidoo G, Hagan-Seneadza NA, Ani-Amponsah M, Nixon-Hill M, Meek J. Validating a Sclera-Based Smartphone Application for Screening Jaundiced Newborns in Ghana. Pediatrics. 2022 Jul 1;150(1):e2021053600. doi: 10.1542/peds.2021-053600. PMID: 35656782. 

 年にから公表されたようです

新生児黄疸スクリーニングのための強膜スマートフォンアプリの検証 [ガーナ編] 

研究の背景/目的

低リソース国において、ビリルビンによる神経学的合併症の負担を軽減するためには、信頼性が高く、アクセス可能なスクリーニングツールが必要である。 

我々は、新生児黄疸のスクリーニングのための強膜ベースのスマートフォンアプリケーション、新生児強膜-結膜ビリルビン(neoSCB)を最適化し、検証することを目指した。 

研究の方法

横断デザインを用いて、2019年3月から2020年4月までガーナで連続した乳児(0~28日齢、入院中、重篤でない)を登録した。 

黄疸スクリーニングは、SCBの定量にはneoSCB(Samsung Galaxy S8)、経皮ビリルビン(TcB)にはJM-105(Dräger)を用いて実施した。 

スクリーニング値は、ポイントオブケアで測定された総血清ビリルビン(TSB)と比較された。 

Dr.KID
Dr.KID
妥当性の検証ですね。

研究の結果

全体として、724人の乳児が研究の最適化と検証の段階に参加した。 検証のための分析には、黄疸の治療歴のない336人の乳児が含まれた。 

TSBが14.62 mg/dL(250 μmol/L)を超える乳児は,neoSCB画像1枚で感度,特異度,曲線下受信機動作特性面積がそれぞれ0.94(95%信頼区間[CI],0.91~0.97),0.73(95% CI,0.68~0.78 ),0.90 と適度に高いレベルで同定された. 

これらの結果は,JM-105の感度および特異度(それぞれ0.96[95% CI, 0.90~0.99],0.81[95% CI, 0.76~0.86] )と同等であった. 

TcB/TSBはSCB/TSB(r = 0.78; P < 0.01)よりも大きな相関係数(r = 0.93; P < 0.01)を有していた。 

両装置の性能は、光線療法の既往のある乳児(n = 231)において低かった。 

結論

neoSCBの診断性能はJM-105と同等であり、新生児黄疸のスクリーニングツールとして、安価で接触不要の可能性がある。 

考察と感想

黄疸のある新生児をスクリーニングするのは血液検査が基本ですが、そもそもリソースの乏しい国ではそれすら困難です。 

そのため、視覚的評価は主観的に行われますが、当然のことながら信頼性に欠けます。 

有効な経皮ビリルビン装置もありますが、お金のない国ではそれへのアクセスすら制限されていることがあります。 

また、侵襲的な採血よりも非侵襲的なスクリーニング方法があれば、そちらのほうが望ましいと考えるのは、医療者も保護者も同意することろでしょう。 

この研究では、強膜の黄色度を測定するスマートフォンアプリケーションを使って、新生児の黄疸を客観的に識別できるかを検証しています。 

そこそこ有効そうな結果で、侵襲性がないという点でも、保護者への受け入れもよさそうです。  

Dr.KID
Dr.KID
経皮ビリルビン装置のほうが性能はよさそうなので、低所得国以外での(特に医療機関での)導入に関しては疑問が残る結果な気もします。

 

まとめ

新生児黄疸スクリーニングのための強膜スマートフォンアプリの検証が行われました。 

感度94%、特異度73%という結果で、リソースの乏しい国では使えるツールになるかもしれません。 

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Dr.KID
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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。