今回は、スペインから報告された、手洗いとアルコール手指消毒剤の組み合わせが、どの程度、感染症の予防効果があるのか検討した研究結果をみてみましょう。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- スペインで行われた研究
- 通常の手洗い+ハンドソープに、アルコール手指消毒剤を追加
- 呼吸気感染症や胃腸炎による欠席率が低下した
アルコール手指消毒は、感染症の予防に有効という結果が複数あります。
研究の概要
背景
感染症による欠席は、公立・私立の小学校が直面している最も重要な問題の一つである。
本研究の目的は、手指消毒剤を用いた手洗いプログラムが、感染症による欠席率への影響を評価することである。
研究方法
本研究は、アルメリア(スペイン)の5つの州立学校において、8ヶ月間のオープンラベル・ランダム化比較研究(N=1,609名、4~12歳の児童)であった。
介入群(EG)は石鹸と水で手を洗い、手指消毒剤を併用しています。
コントロール群(CG)は通常の手洗い手順に従った。
両群ともに、上気道感染症と消化器感染症によるエピソード数と欠席日数をZ検定で比較した。
結果
感染症は7,945エピソードあり、12,386日の欠席があった。
上気道感染症や消化器感染症による欠席生率と欠席日数の割合は、コントロール群よりも介入群(EG)の方が有意に低く、インフルエンザの流行期間中も維持されていました。
結論
特にインフルエンザの季節には、除菌ジェルを活用した手指衛生プログラムが適切に実施されることで、学校での感染症による欠席が減少することが示唆される。
感想と考察
同じ研究者がアルコール手指消毒が胃腸炎の感染と、それに伴う欠席率が低下するという報告も同時期にされていました。今回は、インフルエンザを含む呼吸器感染症もみており、予防効果がありそうでした。
石けんと流水だけより、アルコール手指消毒剤を併用したほうが感染症予防としての効果はよさそうでしたね。
まとめ
スペインで行われた研究で、流水とハンドソープの手洗いにアルコール手指消毒剤を追加することで、胃腸炎のリスクおよびそれに伴う欠席日数を減らすことができました。
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