今回の研究は、2014年に行われたシステマティックレビューとメタ解析です。
成人・小児を対象に、手洗いの実施率と、手洗いが下痢のリスクをどの程度低下させたのかを評価しています。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 2014のシステマティックレビューとメタ解析
- 手洗いの実施率は世界的には20%くらい
- 手洗いを促すことで、感染リスクは40%ほど減らせるかも
Systematic review: Hygiene and health: systematic review of handwashing practices worldwide and update of health effects
手洗いの指導や、石鹸やハンドソープを提供すると、乳幼児の下痢の発症率は低下すると報告した研究は多数あります。
研究の概要
目的
石鹸による手洗いの世界的な普及率を推定し、文献の体系的な調査に基づいて、下痢性疾患に対する衛生の影響のプールされた推定を導き出すこと。
方法
石鹸による手洗いが観察された割合に関するデータを用いた研究は、1990年から2013年の間に発表されたものを対象とし、PubMed、Embase、ISI Web of Knowledgeの体系的検索から同定されました。
下痢に対する手指衛生の影響に関する研究では、ランダム化比較試験、偽似実験、マッチングを用いた観察研究、および介入が明確に定義されている観察研究を含め、調査を行った。
検索には、Cochrane Library, Global Health, BIOSIS, PubMed,およびEmbaseデータベースを用いた。
1970年から2013年の間に公表された研究を同定するために、以前に公表された系統的レビューからの参考文献リストを補足した。
結果は、手洗い頻度のためのマルチレベルモデリングおよびリスク推定のためのメタ回帰モデルを用いて組み合わせた。
結果
手洗いの普及率を報告している42の研究から、世界人口の約19%が排泄物と接触した後に石鹸で手洗いをしていると推定した。
メタ解析によると、手洗いが下痢疾患のリスクを40%減少させると推定された(リスク比0.60、95% CI 0.53-0.68)。
しかし、盲検・非盲検を統計学的に対処した場合、この推定値は23%に低下した(リスク比0.77、95% CI 0.32-1.86)。
結論
著者らの結果は、排泄物と接触した後の手洗いは、健康上の有益性の可能性が高いにもかかわらず、世界的にはあまり実践されていないことを示している。
感想と考察
様々な国のデータで、トイレに行ったあとの手洗い実施率を見ていますね。
本文を読むと、大まかですが、アメリカ・オランダなどは50-60%くらい、中国・韓国あたりは20%くらいという値でした。日本のデータはなかったですが、どの国も手洗い実施率が100%からは遠いのは変わらないのではと推察しています。
まとめ
今回の研究は、2014年に行われた、手洗いと下痢の発症リスクを対象にした、システマティック・レビューとメタ解析でした。
手洗いは現状では世界的には20%ほどしか実施されていない一方で、手洗いをすることで胃腸炎の感染リスクを40%ほど低下させるかもしれません。
成人・小児含め、手洗いでの感染予防は重要ですね。
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